概要
生態と外見
フグ目は、強力な毒テトロドトキシン (TTX) で広く知られる海産魚を中心とするグループで、現生約 430 種。フグ科 (Tetraodontidae) ・ハリセンボン科 (Diodontidae) ・モンガラカワハギ科 (Balistidae) ・マンボウ科 (Molidae) などを含む。体は鱗を失って皮膚は厚く、上下顎の歯が癒合して 2-4 枚の頑丈な歯板を形成する (科名 Tetra-odon は「4 本歯」の意)。
他分類との違い
他の海産硬骨魚 (スズキ目・カサゴ目) が腹腔を圧迫されると死亡するのに対し、本目のフグ科・ハリセンボン科は腹部に拡張可能な憩室 (ventral diverticulum) を持ち、水や空気を吸い込んで体積を 2-3 倍に膨張させて捕食者を威嚇する。マンボウ (Mola mola) は本目内で最大化し、現生硬骨魚で最重量 (2.3 t 級個体記録あり) を達成。
名前の由来
ギリシア語 tetra (4) + odous/odontos (歯) + -iformes で「4 本歯の魚の目」。模式属 Tetraodon の歯板が 4 つに分かれることに由来。和名「フグ」は古名「布久 (ふく)」、毒で危険な魚を意味する説と、膨らむさまから「ふくれ」が転じた説がある。
興味深い特徴
フグの毒テトロドトキシン (TTX) はナトリウムチャネルを阻害する強力な神経毒で、青酸カリの 1,000 倍以上の致死性を持つ。フグ自身は産生せず、餌として食べる甲殻類・貝類に含まれる藻類由来の TTX を蓄積する「外因性蓄毒」であることが分かっており、無毒餌で養殖したトラフグは食べても安全とされる (近畿大学の研究グループが 1990 年代に確立)。
明日使えるうんちく
フグ料理は日本の代表的な食文化のひとつで、調理には都道府県知事免許の「ふぐ調理師」資格が必要。下関市の南風泊 (はえどまり) 市場は日本最大のフグ取引拠点で、毎朝の「袋競り」(両手を袋の中で握って指の本数で値段を伝える非公開競り) は江戸期から続く伝統。
