概要
生態と外見
ナマズ目は、口元の長い髭 (口髭、こうし) が特徴的な淡水魚中心のグループで、現生約 3,500 種。体長 5 cm-3 m と幅広く、ヨーロッパオオナマズ (Silurus glanis) は淡水魚最大級。鱗を欠く滑らかな皮膚、平たい頭、夜行性の生活様式が共通点で、髭は触覚・味覚センサーとして暗水の中で獲物を探る。背鰭・胸鰭の先端に毒棘を持つ種が多い。
他分類との違い
コイ目 (Cypriniformes) と姉妹群でともに骨鰾類だが、本目は髭の発達が顕著、鱗が原則として消失、皮膚に多数の味覚受容細胞 (口外味蕾) が分布する。これにより全身が「巨大な舌」のように機能し、口を開けずとも食物の位置・種類を識別できる。咽頭歯はあるが、コイ目ほど発達せず、餌は丸呑みが基本。
名前の由来
模式属 Silurus (シルルス、ヨーロッパオオナマズ属) + -iformes で「ナマズ型の魚の目」。Silurus はギリシア語 silouros が古い記録で、ナイル川や黒海周辺の大型淡水魚を指した語。和名「ナマズ」は古名で、「滑らずる魚」が転じたとされる。
興味深い特徴
電気ナマズ (Malapterurus electricus、デンキナマズ科) は最大 350 V の放電で獲物を麻痺させ、捕食と防御に使う。電気ウナギ (Electrophorus electricus、デンキウナギ目) と並ぶ強力な発電魚で、古代エジプトの墓壁画に「ナイルの雷魚」として描かれ、医療目的で電気治療に使われた最古の記録がある。
明日使えるうんちく
ナマズは日本では地震を予知する伝承で知られるが、国内の公的機関で長期間行われた行動観察研究では「行動異常と地震の相関は統計的に有意ではない」と結論されてきた。一方、振動感受性は高く、地震 P 波の到達直後 (S 波到達前) に逃避行動を起こすことは確認されているため、伝承の発端には科学的根拠の一端があるとされる。
