概要
生態と外見
世界の温暖な沿岸〜淡水域に生息する条鰭類で、現生は 350 種前後。体長 3〜45cm の小型〜中型魚。細長い銀色の体側、2 つの背鰭 (前方が棘条 / 後方が軟条) という特徴的構成を持つ。沿岸性のトウゴロウイワシ類は河口の汽水域に大群を作り、ニジイロタナゴ (Rainbowfishes / Melanotaeniidae) は淡水アクアリウムの定番種として親しまれる。プランクトンや小型節足動物を採食する。
他分類との違い
「いわし」と名は付くがニシン目 (Clupeiformes) とは別系統で、ボラ目 (Mugiliformes) やトビウオ目 (Beloniformes) と近縁。ニシン目より背鰭・腹鰭の位置がやや前寄りで、棘条性の前背鰭を持つ点で区別される。条鰭類の系統上は 系列 (series) Atherinomorpha に属し、トビウオ目・カダヤシ目・ボラ目と類縁。
名前の由来
学名 Atheriniformes は属名 Atherina に由来し、ギリシア語 atherine (古代ギリシアの小魚名) を語源とする。和名「トウゴロウイワシ」は江戸時代の文献にみられる名で、由来は諸説あり「藤五郎」という人名説、または「とうごろう = しゃらしゃら音を立てる」という擬音語説がある。英名 silverside は銀白色の体側を反映した命名。
興味深い特徴
オーストラリアおよびニューギニアの淡水固有種ニジイロタナゴ類 (Melanotaeniidae) は雄が繁殖期に虹色の婚姻色を発色し、観賞魚として国際的に流通する。一部のトウゴロウイワシ類は 大気下産卵 (高潮時に陸上の砂礫に産卵) という珍しい繁殖様式を持ち、カリフォルニア沿岸のグルニオン (Leuresthes tenuis) は満月夜の浜辺集団産卵で著名。
明日使えるうんちく
カリフォルニア海岸の「グルニオン・ラン」は、年に数回満月の夜に魚 (グルニオン) が砂浜に乗り上げ集団産卵する自然現象で、観光イベントにもなっている。魚は体をくねらせ砂中に卵を埋め、次の高潮で受精卵が孵化・流出する仕組み。条鰭類の中で最も「陸上に近い」繁殖をする一群と言える。
