概要
生態と外見
コイ目は、淡水魚で最大級の目のひとつで、現生約 4,000 種。体長 2 cm のメダカ大から 3 m のヨーロッパオオナマズ (実はナマズ目だが) には及ばないものの、コイ・フナ・ソウギョ・ウグイ・タナゴ・ドジョウなど日本の淡水魚の代表格を多数含む。歯がない (顎歯を欠く) かわりに咽頭歯 (いんとうし、喉の奥にある摂食用の歯) で食物を磨り潰す独特の摂食機構を持つ。
他分類との違い
スズキ目 (Perciformes) など海産硬骨魚と異なり、本目は基本的に淡水産で、棘条が乏しく胸鰭・腹鰭が腹側寄りに位置する。同じく淡水中心のナマズ目 (Siluriformes) とは姉妹群と考えられ、ともに「骨鰾類 (こつひょうるい、内耳と鰾を骨で連絡するウェーバー器官を持つグループ)」に属するが、ナマズ目が髭を発達させるのに対し本目は髭を持つ種が少なく、咽頭歯への依存度が高い。
名前の由来
模式属 Cyprinus (キプリヌス、コイ属) + -iformes で「コイ型の魚の目」。Cyprinus は古代ギリシアでアフロディーテ女神 (キプロス出身) に捧げられた魚の名から。和名「コイ目」は日本産代表種コイ (Cyprinus carpio) を冠した目名。
興味深い特徴
コイ目の魚は内耳と鰾 (うきぶくろ) を 3-4 個の小骨 (ウェーバー器官) で繋ぎ、鰾を共鳴器として使って高感度の聴覚を実現する。これにより 1 kHz 以上の高音まで聞き取れ、雷鳴・船舶モーター音などを察知できる。釣り師の間で「魚は足音を聞く」と言われるのはこの仕組みによる。
明日使えるうんちく
コイ (Cyprinus carpio) は世界最古の養殖魚の一つで、中国では紀元前 5 世紀には養殖が確立していた記録がある。日本には弥生時代に渡来し、奈良時代の宮中料理にも登場、現代では錦鯉 (にしきごい) として園芸品種化が進み、新潟県小千谷市・長岡市の品評会で 1 匹 1,000 万円以上の値がつく個体もある「泳ぐ宝石」として国際的に評価される。
