概要
生態と外見
冷温帯〜寒帯の海洋に分布する硬骨魚類で、約 600 種を含む。タラ (Gadus 属)・スケトウダラ・メルルーサ・タチウオ (※タチウオは別目との説が現在主流) など、漁業上の主要対象魚を多く含む。体形は紡錘形〜やや細長く、3 つの背鰭と 2 つの臀鰭 を持つ種が多い点が形態的特徴。下顎にひげ状感覚突起 (barbel / バーベル) を持つ種が多く、海底付近で甲殻類・小魚を採餌する。
他分類との違い
メルルーサ亜目とタラ亜目が含まれ、両者は背鰭・臀鰭の数で区別される。スズキ目 (Perciformes) と異なり、棘条 (硬く尖った鰭の支持骨) を持たず、全ての鰭条が軟条 (柔らかい支持骨)。サケ目 (Salmoniformes) と異なり脂鰭 (背鰭の後ろの小さな脂質鰭) を持たない。
名前の由来
学名 Gadiformes はラテン語 gadus (タラ) + forma (形) に由来し「タラ型」の意。Gadus 自体はギリシア語起源で、古くから知られる海産食用魚の総称的な語。和名「タラ」は古く「鱈」の字が当てられ、雪のように白い身を持つことから「魚 + 雪」の会意とされる。
興味深い特徴
タラ目は世界の漁業生産量の上位を占め、特に大西洋タラ (Atlantic cod) は中世以降の北大西洋沿岸国の食料・経済・国際関係を形作った魚種。1990 年代のニューファンドランド大規模個体群崩壊は、過剰漁獲による海洋資源崩壊の象徴的事例として水産学の教科書に載る。1 尾あたり 100 万〜数百万粒の卵 を産む高い繁殖力を持つが、それでも資源回復は遅い。
明日使えるうんちく
スケトウダラの卵巣を塩漬けにしたものが「たらこ」「明太子」で、日本の年間消費量は卵だけで数万トン規模。流通する明太子の原料スケトウダラ卵巣の大半は ロシア・米国アラスカ州産 で、日本産はわずか。「日本の食」の代名詞だが原料供給は北太平洋公海漁業に支えられているという、グローバル食料連鎖の典型例。
