概要
生態と外見
サケ目は、北半球冷水域に分布する遡河性 (そかせい、海から川を遡って産卵) の魚を中心とするグループで、現生 1 科 11 属 約 220 種。サケ・マス・イトウ・ワカサギ等を含み、体は紡錘形で銀色、背鰭の後ろに小さな「脂鰭 (あぶらびれ、軟条がなく脂肪のみで構成される第 2 背鰭)」を持つのが目に見える特徴。海洋成長期と河川産卵期で体色が劇的に変化する種が多い。
他分類との違い
スズキ目など他の硬骨魚は脂鰭を欠く種が大多数だが、本目は脂鰭がほぼ全種に存在する。同じく回遊性のニシン目 (Clupeiformes) と異なり、本目は淡水での産卵が必須で、生活史の前半 (孵化-降海) を河川で過ごす。卵は大型 (直径 4-7 mm) で卵黄が豊富、稚魚は孵化後しばらく卵嚢を吸収して成長する。
名前の由来
模式属 Salmo (サルモ、タイセイヨウサケ属) + -iformes で「Salmo 型の魚の目」。Salmo はラテン語 salire (跳ねる) に由来し、産卵遡上時に滝を跳ねる姿を表す。和名「サケ」は古名で諸説あり、「裂ける魚」(身を切り裂きやすい)・「酒の魚」(神事に使う) などの語源説がある。
興味深い特徴
サケ (Oncorhynchus keta) は誕生した川に戻って産卵する「母川回帰 (natal homing)」を行い、生まれた川の水の匂い分子 (アミノ酸組成) を稚魚期に嗅覚学習で記憶する仕組みが Hasler & Scholz (1983) の古典研究で実証された。母川以外の水を嗅覚遮断や移植実験で与えると遡上ができないことから、川の匂いが「ナビゲーション最終段階」の主要手がかりと考えられている。
明日使えるうんちく
日本では北海道・東北で「サケ漁」が秋の風物詩。アイヌ語で「シペ (本当の食べ物)」と呼ばれたサケは、北方民族の冬の生存を支えた最重要食料で、皮は防水靴・衣服に加工された。現在でも標津・知床のサケ博物館で皮製品の伝統技術が継承されている。
