概要
生態と外見
世界中の温帯〜熱帯の沿岸〜深海に生息する条鰭類で、現生は 230 種前後。体長 10cm〜2m の幅広いサイズ。代表的なエソ類 (Synodontidae) は沿岸砂泥地に半身を埋めて待ち伏せ、ハダカエソ類 (Alepisauridae) は外洋深海の高速遊泳捕食者として知られる。多くは肉食で、口は大きく、円錐状の鋭歯が並ぶ。脂鰭を持ち、サケ系統との遠縁な共通形質を残す。
他分類との違い
サケ目 (Salmoniformes) やキュウリウオ目 (Osmeriformes) と外見は似るが、より特殊化した捕食者型。深海種 (ハダカエソ / オキエソ等) はワニトカゲギス目 (Stomiiformes) と棲息帯が重なるが、本目は顎の歯が比較的均一で、長大な犬歯型に進化していない点で区別される。雌雄同体 (同時的雌雄同体) 種を多く含む点が、他の条鰭目と異なる特徴。
名前の由来
学名 Aulopiformes は属名 Aulopus に由来し、ギリシア語 aulos (管 / 筒) を語源とする。和名「ヒメ目」は本目の科 Aulopodidae (ヒメ科) の代表種ヒメ (Aulopus japonicus) の和名をそのまま用いる。「ヒメ」は古来「姫」を当て字とした語感由来とされ、形質的意味は薄い。
興味深い特徴
本目の多くの種は 同時的雌雄同体 (simultaneous hermaphrodite) であり、繁殖時に雌雄機能を同時に発揮できる個体が報告される。これは深海で出会いが稀な環境への適応とされる。エソ類は商業的にすり身原料 (かまぼこ / ちくわ) として最大量利用される魚種の一つで、日本の練り物産業を支える。
明日使えるうんちく
スーパーで売られる「かまぼこ」「ちくわ」の主原料の多くは、本目のエソ類 (特にアカエソ / ワニエソ) のすり身。エソは小骨が多く生食には適さないが、肉質が白く弾力があるため練り物には理想的とされる。一方ハダカエソ (Alepisaurus) は深海の獰猛な捕食者で、胃内容物調査が外洋生態系の食物網解明に活用される (海洋研究では「水中の網状サンプラー」と呼ばれる)。
