概要
生態と外見
世界の熱帯〜温帯の中深層 (200〜1,000m) に生息する条鰭類で、現生は 20 種前後。体長 1〜11m と幅広い。代表種アカマンボウ (Lampris guttatus) は最大 2m・体重 270kg の大型円盤型外洋魚で、赤色の体に銀白色の斑点を持つ。リュウグウノツカイ (Regalecus glesne) は世界最長の硬骨魚として知られ、最大で全長 11m に達する細長い銀色の魚で、頭部背側に赤い鬣状の背鰭を持つ。
他分類との違い
胸鰭が縦に並ぶ独特の構造、骨格の癒合パターン、口の前方への突出可能な顎骨など、他目と区別される多数の固有形質を持つ。スズキ目 (Perciformes) と長く比較されたが、近年の系統解析では独立性が支持される。アカマンボウ目内では形態多様性が大きく、円盤型 (アカマンボウ) と紐状 (リュウグウノツカイ) という両極端な体型を含む。
名前の由来
学名 Lampriformes は属名 Lampris に由来し、ギリシア語 lampros (輝く) を語源とする。和名「アカマンボウ」は赤い体色と円い体形 (マンボウ Mola のような形状) を反映した命名。英名 opah はアフリカの現地語起源とされる。リュウグウノツカイは「竜宮の使い」、つまり海底の竜宮城からの使者という日本古来の伝承に基づく。
興味深い特徴
アカマンボウ (Lampris guttatus) は脊椎動物で初めて 完全な全身性温血性 (whole-body endothermy) が確認された魚として 2015 年に報告された。鰓内の対向流熱交換器によって体温を周囲水温より約 5℃ 高く維持し、冷たい深海でも高い遊泳能力を発揮する。マグロやサメは部分的温血性にとどまるため、本種は魚類進化研究の大きなマイルストーン (Wegner et al. 2015 Science 報告)。
明日使えるうんちく
リュウグウノツカイが海岸に打ち上げられると「地震の前兆」と古来から言われるが、科学的根拠は限定的。日本魚類学会等の見解では、台風や潮流変化による弱体個体の漂着が大半とされる。一方アカマンボウは寿司ネタや缶詰として近年流通量が増加しており、見た目の派手さに反して「実は身近な高級白身魚」として消費されている。
