概要
生態と外見
カライワシ目はカライワシ科 (Elopidae) とイセゴイ科 (Megalopidae) の 2 科から構成される海産魚の目で、現生種は約 8 種。体長 70 cm〜2.5 m 級まで、銀色に輝く側偏した紡錘形体型を持つ。世界中の熱帯・亜熱帯沿岸域に分布し、河口・マングローブ域にも侵入する広塩性 (euryhaline)。鱗は大きく光沢が強い cycloid タイプで、しばしば「銀の魚」として印象的。
他分類との違い
ウナギ目 (Anguilliformes) や Albuliformes と共に古い系統群 Elopomorpha を構成し、共通形質として leptocephalus (透明・葉形の特殊な仔魚) 期を持つ。タラ目 (Gadiformes) やニシン目 (Clupeiformes) との違いは leptocephalus 仔魚の存在と鰓蓋骨構造。サケ目とは脂鰭 (adipose fin) の有無で区別される。
名前の由来
学名 Elopiformes はギリシャ語 helops (古代に知られた銀色の魚) に由来。和名「カライワシ」は「唐鰯」で、日本近海では珍しい大型のイワシ様魚として中国 (唐) から渡来したかのような印象から命名された。英名 tarpon はオランダ語 tarpoen 起源とされ、新世界フランス植民地経由で英語化した。
興味深い特徴
イセゴイ (Megalops cyprinoides) は釣り対象として世界的に人気があり、釣り上げられると体長級ジャンプ (体長 2 m 級個体で 3 m の跳躍記録あり) を繰り返す tarpon jumping で知られる。浮き袋を呼吸補助器として利用でき、低酸素環境で水面から空気を吸い込むため淡水・汽水域でも生存可能。leptocephalus 仔魚は無色透明・葉形・体高比 4〜10 と独特で、変態期に著しく縮んで成体型になる。
明日使えるうんちく
カリブ海・メキシコ湾岸では tarpon fishing は数十万ドル規模の観光資源で、フロリダ州では「Silver King (銀の王)」と呼ばれ、毎年大会が開催される。日本では沖縄南方海域で稀に釣れる程度で、食用には向かず (骨が多く肉も少ない) ほぼリリースされる。leptocephalus 期を 1〜3 ヶ月過ごし、その後浅海で変態する生活史は脊椎動物発生学の興味深いモデルとして研究される。
