概要
生態と外見
ヤツメウナギ綱は、顎を持たない円口類 (えんこうるい) のグループで、ウナギに似た円筒形の体と、口に顎ではなく吸盤状の構造を持つのが特徴。体長 15-100 cm、体の左右それぞれに 7 個の鰓孔 (さいこう) が一列に並び、これに眼と鼻孔の開口部を加えて見かけ上「目玉が 8 つ」あるように見えることが和名の由来。河川と海を回遊する生活史を持つ種が多い。
他分類との違い
通常の魚類 (硬骨魚・軟骨魚) が下顎を持ち獲物に噛みつくのに対し、本綱は顎を欠き、円形の吸盤口で他の魚に張り付いて体液を吸う寄生生活を送る種が多い (海産種の Petromyzon marinus 等)。脊椎を支える脊柱も軟骨製の脊索 (せきさく) で済ませており、現生脊椎動物のなかで最古の系統形質を多く残す。
名前の由来
ギリシア語 petros (石) + myzo (吸う) で「石を吸う者」。産卵時に石をくわえて川底に運び産卵床を作る行動から名付けられた。和名「ヤツメウナギ」は前述の通り見かけ上 8 個の穴を持つことから。
興味深い特徴
五大湖に侵入したウミヤツメ (Petromyzon marinus) は 1940 年代に湖沼漁業を壊滅させた歴史を持ち、現在も化学誘引剤 (フェロモン) と毒餌 (TFM、3-トリフルオロメチル-4-ニトロフェノール) を組み合わせた選択的駆除プログラムが続いている。約 4 億 6,000 万年前のオルドビス紀化石にも本綱と同型の体制が見つかっており、デザインがほぼ変わっていない「生きた化石」。
明日使えるうんちく
ヤツメウナギは日本でも秋田・北海道などで蒲焼にして食べられ、レチノール (ビタミン A) 含有量が突出して多い (100 g 中 8,300 μg、うなぎの 4 倍以上) ため夜盲症の民間療法として珍重された。「八目鰻」と書くのは江戸期の和名表記で、東北では「カド」とも呼ばれる。
