概要
生態と外見
ヒドロ虫綱は、刺胞動物門 (じほうどうぶつもん、毒針細胞を持つ動物のグループ) の中で「ポリプ世代 (定着型)」と「クラゲ世代 (遊泳型)」を世代交代させるグループ。ポリプは岩や海藻に固着して群体を作り、出芽 (しゅつが、体側から子個体を作って分離する増殖) でクラゲ個体を遊離させる。多くは数 cm 以下と小型だが、数千個体が連結した「群体クラゲ」も含む。
他分類との違い
鉢虫綱 (Scyphozoa、ミズクラゲなど) や箱虫綱 (Cubozoa) がクラゲ世代を主体とするのに対し、本綱はポリプ世代が長く、クラゲ世代を短期で放出する種が多い。クラゲ個体は鐘 (傘) の縁に「縁膜 (えんまく、velum、ジェット噴射の絞り構造)」を持つのが本綱固有の解剖学的特徴。
名前の由来
ギリシア神話の九つの頭を持つ怪物ヒドラ (Hydra) に由来する。淡水ポリプの代表種ヒドラが、切断しても各断片から個体が再生する不死性をその怪物に重ねて命名された。
興味深い特徴
ベニクラゲ (Turritopsis dohrnii) はクラゲ世代が老衰やストレスに直面するとポリプ世代に「逆戻り (転分化、transdifferentiation)」して再び若い個体から始められる。理論上は不死とされ「不死のクラゲ」と通称される。一方、カツオノエボシ (Physalia physialis) は単独個体ではなく「個虫」と呼ばれる役割分担した個体の群体で、毒刺胞による刺傷被害は深刻である。
明日使えるうんちく
お風呂の壁などに付くピンク色の小さなポリプ「ヒドラ」(淡水産) は再生実験のモデル生物として古くから使われ、頭部・足部を任意の位置で切っても完全に再生する。人間の組織再生研究の基礎データの多くが、この 1 cm 足らずの生き物から得られている。
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