概要
生態と外見
腹足綱は、軟体動物門のうち頭部と腹側の筋肉質な「足」で這って移動するグループの総称。現生種は 6 万-8 万種と推定され、軟体動物の中で群を抜いて最大、動物界でも昆虫綱に次ぐ多様性を誇る。巻貝 (殻あり) ・ナメクジ (殻なし) ・ウミウシ (殻退化) のすべてが本綱に属し、淡水・海・陸のいずれにも進出している。
他分類との違い
同じ軟体動物の二枚貝綱 (Bivalvia) が頭部を退化させ 2 枚の殻に身を隠すのに対し、本綱は明瞭な頭部に触角 (1-2 対) と眼を備え、歯舌 (しぜつ) で能動的に摂食する。発生過程で内臓塊が 180° ねじれる「ねじれ (torsion)」が腹足綱の最大の解剖学的特徴で、これにより肛門が頭部の上に来る独特の体制が成立する。
名前の由来
ギリシア語 gaster (腹) + pous/podos (脚) で「腹に脚を持つ者」。腹側に広がる筋肉質の足を強調した命名。和名「腹足」も同義の直訳。
興味深い特徴
イモガイ科 (Conus) は摂食用に変形した歯舌を毒銛として進化させ、魚をも瞬時に麻痺させる強力なペプチド毒 (コノトキシン) を持つ。種ごとに数十-数百種類のコノトキシンを分泌し、神経科学・鎮痛薬研究の宝庫となっている (Ziconotide は実用化されたコノトキシン由来薬)。
明日使えるうんちく
カタツムリ (陸生有肺類) の殻の巻き方向は遺伝子で決まり、ほとんどの種は右巻きだが、左巻きの個体は逆向きの個体と交尾できないため新種誕生のきっかけになる。「左巻きカタツムリ問題」は進化生態学の古典的話題で、京大の研究グループが 2010 年代に左右ヘテロ接合子の選択を解明した。
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