概要
生態と外見
ギンザメ目は軟骨魚綱 (Chondrichthyes) のうち全頭亜綱 (Holocephali) を構成する深海魚の目で、現生種は約 50 種以上。ギンザメ科 (Chimaeridae)・テングギンザメ科 (Rhinochimaeridae)・ゾウギンザメ科 (Callorhinchidae) の 3 科から構成される。体長 60 cm〜2 m 級で、上顎が脳頭蓋に癒合した holostylic 顎関節を持ち、サメ・エイ (Elasmobranchii) と区別される最重要形質。深海 (200〜2,600 m) に主に分布。
他分類との違い
軟骨魚綱の中でサメ・エイ亜綱 (Elasmobranchii) と並ぶ姉妹群で、両者は約 4 億年前に分岐したとされる。サメ・エイとの違いは上顎の癒合の有無、鰓蓋の有無 (ギンザメは鰓蓋あり、サメ・エイはなし)、歯板構造 (ギンザメは融合歯板 6 枚、サメ・エイは置換歯)。条鰭類とは骨格全体が軟骨である点で完全に区別される。
名前の由来
学名 Chimaeriformes はギリシャ神話の合成獣 Khimaira (ライオン・山羊・蛇の合体) に由来し、サメとエイとフカ類を混ぜたような奇妙な体型を反映。和名「ギンザメ」は銀色の体表に由来する。英名 ratfish (ネズミ魚) は長く細い尾を鼠の尾になぞらえたもので、米国・カナダ西岸で一般的な俗称。
興味深い特徴
オスは頭部に額角 (frontal tenaculum) と呼ばれる引込式の交接器具を持ち、交尾時にメスを保持するために用いる。これは脊椎動物で唯一頭部に交尾器を持つ例で、軟骨魚綱でもギンザメ目に限られる。歯板は 6 枚 (上顎 4 + 下顎 2) で、置換せず一生使い続けるため摩耗時にはエナメル質ではなく vitrodentine が補充される。
明日使えるうんちく
ニュージーランド沖のゾウギンザメ (Callorhinchus milii) は鼻先に象の鼻のような可動性突起を持つ独特な形態で、海底の底質を探って餌を見つける用途。古生物学的にはギンザメ類は石炭紀 (~3.4 億年前) に多様化したピーク期があり、現生種はその「生きた化石」とされる。深海性のため漁業対象になりにくいが、ニュージーランド・アルゼンチン沖では食用とされ「elephant fish」として地域市場に流通する。
