概要
生態と外見
ラッパウニ Toxopneustes pileolus はインド洋・西太平洋 (沖縄・フィリピン・オーストラリア北部) の浅海 (水深 1〜90 m) に生息する中型ウニで、殻直径 10〜15 cm。短く弱い棘の間に「花弁状の叉棘 (pedicellaria globifera)」を多数備え、これが咲いた花のように見えることが和名・英名の由来。叉棘から強力な毒を分泌する。
他分類との違い
Strongylocentrotidae 科のキタムラサキウニ (S. nudus) のような長い棘を防御に用いるウニと異なり、本種は短棘で、代わりに毒叉棘を発達させた。同じ Toxopneustidae 科でも本属の毒の強さは群を抜く。Camarodonta 目 (本種を含む) は咀嚼器 (アリストテレスの提灯) が camarodont 型である点でも区別される。
名前の由来
属名 Toxopneustes はギリシャ語 tóxon (弓・毒) + pneústēs (息) で「毒の息」、毒叉棘を表す。種小名 pileolus はラテン語 pileus (帽子) の縮小形で「小さい帽子」、扁平な殻形を示す。英名 Flower urchin (花ウニ)、和名「ラッパウニ」は花弁状の叉棘から。
興味深い特徴
毒叉棘から分泌される毒は contractin A (筋収縮・血圧低下作用) と peditoxin (鎮痛作用と神経毒性) という独自タンパク質を含み (Nakagawa et al., 1991)、人が触れると激痛と麻痺を引き起こす。フィリピンや沖縄で漁師の刺傷事故が報告される。
明日使えるうんちく
毒叉棘の構造は花弁が「閉じる動き」をする生体メカニカル構造として材料工学・ロボット工学の研究対象となり、Coppard et al. (2012) などで力学解析が進んでいる。沖縄の磯では水中ライト下で叉棘が一斉に動く様子が観察できる。
基本情報
Toxopneustes pileolus
トキソプネウステス ピレオルス
Flower urchin
フラワーウーチン
10〜15 cm(殻直径。短棘+花弁状の毒叉棘)
草食(海藻・付着生物)
浅海岩礁・サンゴ礁(水深1-90m)
インド洋・西太平洋(沖縄・フィリピン・オーストラリア北部)
