概要
生態と外見
ハナヤサイサンゴ Pocillopora damicornis はインド洋・太平洋に広く分布する造礁サンゴで、水深 1〜40 m の様々な環境に適応する。コロニーはカリフラワー状の細かい分岐で、20〜50 cm に成長することが多い。褐虫藻と共生する。
他分類との違い
同じ Pocilloporaidae 科の Stylophora pistillata は太い指状の枝が特徴で、本種の繊細な分岐と異なる。Acropora 属と比較すると、ハナヤサイサンゴ科は枝先に明瞭な軸ポリプを持たず、ポリプは枝全体に均一に分布する。
名前の由来
属名 Pocillopora はラテン語 pocillum (小杯) + ラテン語化されたギリシャ語 porus (孔) で「小杯状の孔」、コロニー表面に並ぶ verruca (いぼ状突起) 内のポリプ開口を表す。種小名 damicornis はラテン語 dama (シカ) + cornu (角) で枝の形状を示す。和名は花野菜 (カリフラワー) 状の形状から。
興味深い特徴
本種は有性生殖 (放卵放精) に加え、未受精卵から発生する「無性発生 (parthenogenesis)」(雌親と遺伝的同一の幼生 = brooding planula を生む現象) が報告されており、サンゴの中では珍しい繁殖戦略を持つ。
明日使えるうんちく
本種は実験室飼育が比較的容易で、白化耐性研究の主要モデルの 1 つ。褐虫藻の系統 (clade A〜D 等) の入れ替わり「symbiont shuffling」を温度ストレス下で示すことが Cunning et al. (2018) などで報告されている。
基本情報
Pocillopora damicornis
ポキロポラ ダミコルニス
Cauliflower coral
カリフラワーコーラル
20〜50 cm(コロニーサイズ)
光合成・捕食(褐虫藻との共生+プランクトン捕食)
固着(造礁性)
サンゴ礁(水深1-40m)
インド洋・太平洋
