概要
生態と外見
タラバガニ科 (Lithodidae) タラバガニ属の超大型甲殻類で、頭胸甲長 25〜28 cm 級・脚展開長 1.8 m 級・体重 6〜10 kg 級 (最大 12 kg の記録あり)。体色は暗赤褐色〜赤紫色で、頑強な棘で覆われた頭胸甲と長く太い歩脚を持つ。北太平洋 (オホーツク海・ベーリング海・アラスカ沿岸) の冷温帯〜寒帯海域 (水深 25〜350 m、水温 2〜10℃) に分布する。底生肉食〜雑食で軟体動物・棘皮動物・甲殻類・魚類死骸を採食。
他分類との違い
短尾下目 (Brachyura、いわゆる真のカニ類) ではなく異尾下目 (Anomura、ヤドカリ類) に属し、ヤシガニ Birgus latro に近縁。ズワイガニ Chionoecetes opilio と異なり、第 5 歩脚が小型化・退化して頭胸甲下に折り畳まれ、表面上 8 脚に見える (実際は 10 脚)。同属のアブラガニ Paralithodes platypus と比べ、頭胸甲の棘がより鋭く、色がより赤褐色寄り (アブラガニは青みがかる)。
名前の由来
学名 Paralithodes camtschaticus の属名 Paralithodes はギリシャ語 para (近い) + lithodes (石のような) で「石蟹に近いもの」を意味し、岩礁適応・頑強な殻に由来する。種小名 camtschaticus はロシア・カムチャツカ半島が基準産地であることを示す。Tilesius により 1815 年に記載。和名「タラバガニ (鱈場蟹)」は鱈の漁場で多く獲れたことに由来する。
興味深い特徴
異尾下目の中で最も大型化した一例で、脚展開長は現生甲殻類の中でタカアシガニに次ぐ巨大さ。ロシア由来の人為的移入で 1960 年代にバレンツ海 (北大西洋ノルウェー沖) に放流され、現在は同海域で侵入定着している (ロシア科学アカデミーによる漁業資源化試験が起源)。寿命は野外で 20〜30 年と推定される。
明日使えるうんちく
世界の高級カニ食材の代表格で、ロシア・米国アラスカ・日本 (北海道) が主要漁獲国。年間漁獲量は北太平洋全体で約 3 万トン (1980 年代の 13 万トンから資源減少で低下)。脚の身は淡白で繊維質が太く、刺身・茹で・焼き蟹で広く食される。米国アラスカでは「Deadliest Catch」(漁業ドキュメンタリー番組) で本種漁業の過酷さが広く知られた。
基本情報
Paralithodes camtschaticus
パラリトデス・カムチャティクス
Red king crab
レッドキングクラブ
25〜28 cm(頭胸甲長。脚展開長1.8m級)
6〜10 kg(最大12kg)
20〜30 年(野生個体での推定)
雑食(軟体動物・棘皮動物・甲殻類・魚類死骸)
冷温帯〜寒帯海域(水深25-350m・水温2-10℃)
北太平洋(オホーツク海・ベーリング海・アラスカ沿岸)
