概要
生態と外見
テナガエビ科 (Palaemonidae) テナガエビ属の大型エビで、体長 30〜32 cm 級 (雄、第 2 歩脚を含む全長は 60 cm 級)・体重 200〜450 g 級。雄の第 2 歩脚 (鋏脚) は体長を超える長さに伸長し、青〜緑青色を呈する。雌は第 2 歩脚が短く体色は淡褐色〜灰色。インド洋〜西太平洋 (インド・東南アジア・北部オーストラリア) の河川下流・河口・汽水域に自然分布。雑食性で水生昆虫・小魚・有機物を採食する。
他分類との違い
同科のテナガエビ Macrobrachium nipponense (日本在来、体長 6〜10 cm) と比べ、体が遥かに大型で第 2 歩脚の長さが顕著。本種は淡水〜汽水で完結する生活史を持つが、幼生期 (zoea) は汽水〜海水でのみ発達し、純淡水では生残しない (両側回遊性、amphidromous)。同じくテナガエビ亜目だが、Penaeidae (クルマエビ科) と異なり卵を雌の腹節に抱卵する (carrying eggs under abdomen)。
名前の由来
学名 Macrobrachium rosenbergii の属名 Macrobrachium はギリシャ語 makros (長い) + brachion (腕) で「長い腕を持つもの」、長く伸びた第 2 歩脚に由来する。種小名 rosenbergii は記載者 De Man が献名した動物学者 Carl Benjamin Hermann von Rosenberg に由来。De Man により 1879 年に記載。和名「オニテナガエビ」はテナガエビ属で最大級の体格を「鬼」と形容した命名。
興味深い特徴
雄には体格と鋏色彩で 3 段階の表現型 (small male / orange-claw male / blue-claw male) が知られ、最大の青鋏雄 (BCM) は最も大型の鋏と縄張りを持つが繁殖率は低く、橙鋏雄 (OCM) が実際の繁殖の中心という社会構造を持つ (Karplus 2005 のレビュー)。これは性的選択と社会階層の関係の代表例として研究されている。
明日使えるうんちく
世界の淡水エビ養殖の主力種で、年間生産量は 25 万トン超 (FAO 2020 推計)。東南アジア・中南米で広く養殖され、日本でも沖縄・九州で試験的に養殖が行われている。グルメ用「川エビ」として大型のものは焼物・蒸し物で珍重される。インド名「scampi」がそのまま欧米料理名に使われることもある (ただし scampi は本来別種ノルウェーロブスター Nephrops norvegicus の俗称で、用法が地域により異なる)。
基本情報
Macrobrachium rosenbergii
マクロブラキウム・ロセンベルギイ
Giant river prawn
ジャイアントリバープローン
オス 30〜32 cm(雄の体長。第2歩脚含む全長は60cm級)
200〜450 g
雑食(水生昆虫・小魚・有機物)
河川下流・河口・汽水域(両側回遊性)
インド洋〜西太平洋(インド・東南アジア・北部オーストラリア)
