生態と外見
アカザエビ科 (Nephropidae) ホマルス属の大型エビで、体長 25〜50 cm 級・体重 0.5〜4 kg 級が一般、最大記録は 1977 年カナダ沖の 20.1 kg 個体 (Guinness World Records)。体色は緑褐色〜暗青緑色が普通で、稀に青色 (1/200 万)・黄色・白色等の色変異が発生する。北大西洋 (カナダ・米国東岸の冷温帯) の岩礁・砂礫底に分布し、水深 4〜200 m の浅海〜中深層に生息。底生肉食〜雑食で、軟体動物・甲殻類・魚類・腐肉を採食する。
他分類との違い
同属のヨーロッパロブスター Homarus gammarus と比べ、体色が緑褐色 (ヨーロッパ種は暗青色)、第 1 歩脚の鋏が大型化し非対称性が顕著で「クラッシャー (砕)」と「カッター (切)」の機能分化が明瞭。鋏の非対称性は幼体期の使用偏向で決まる (右利き・左利き個体が存在)。イセエビ科 Panulirus と異なり、巨大な第 1 歩脚鋏を持つ点で容易に識別される (イセエビには鋏がない)。
名前の由来
学名 Homarus americanus の属名 Homarus はフランス語 homard (ロブスター) を Latin 化したもの。種小名 americanus は北米産であることを示す。H. Milne Edwards により 1837 年に記載。英名 lobster はラテン語 locusta (バッタ) に由来し古英語で甲殻類の総称として用いられた。和名「アメリカンロブスター」は原産地に由来し、市場流通名としても定着している。
興味深い特徴
長寿命で野外個体は 50〜100 年生存する可能性が指摘される (生長線解析、Wahle et al. 2012)。永続的成長 (indeterminate growth) を示し、脱皮を続ければ巨大化する。テロメア活性が成体でも維持される稀な動物の一例として注目される。青色個体は遺伝的劣性変異 (clutch サンプリングで 1/200 万) で、捕獲された場合は水族館で展示される事例が多い。
明日使えるうんちく
メイン州 (米国) を中心とした年間漁獲量は約 6〜7 万トンで、米国・カナダの代表的水産業の柱。茹でた身の鮮赤色はクルマエビと同じくアスタキサンチン・タンパク質結合解離による発色。19 世紀のニューイングランドでは安価な貧民食 (囚人の食事) だったが、20 世紀に高級食材として転換した歴史を持つ。日本でも回転寿司・洋食店で広く流通する。