概要
生態と外見
クサビライシ Fungia fungites はインド洋・西太平洋の水深 1〜30 m に生息する単体サンゴで、円盤状の形態が特徴。直径 5〜30 cm の単一個体が砂泥底や礁斜面に転がるように散在する。本種を含む Fungiidae 科は群体性のサンゴと異なり、基質に固着せず単独個体として生活する。褐虫藻と共生する。
他分類との違い
群体性の Acropora 科や Pocilloporaidae 科とは異なり、Fungiidae 科 (本種を含む) は基質から離脱して単体で生活する。同じ Scleractinia 目 (イシサンゴ目) でも本科は「自由生活性 (free-living)」という独自の生活様式を持つ。
名前の由来
属名 Fungia はラテン語 fungus (キノコ) で円盤状の形態を表す。種小名 fungites もキノコの意で同義反復。和名「クサビライシ」は嚏 (くさめ・くしゃみ) を意味する古語と「皿 (さら)」の合成という説と、傘 (からかさ) 状の意とする説があり、円盤状の傘形態に由来する。
興味深い特徴
本種は幼生期に基質に固着するが、成熟過程で「自己離脱 (autotomy)」により基質から離れ、自由生活に移行する。Hoeksema (1989) の研究で明らかにされた離脱機構は、サンゴの中で非常にユニーク。
明日使えるうんちく
本種は離脱後に基質から離れた個体でも、再生能力により損傷した骨格を修復し、最大 5 個体に「断片増殖」することがある。沖縄やフィリピンの観光ダイビングで「動くサンゴ」として知られる。
基本情報
Fungia fungites
フンギア フンギテス
Mushroom coral
マッシュルームコーラル
5〜30 cm(個体直径。単体サンゴ)
光合成・捕食(褐虫藻との共生+プランクトン捕食)
自由生活(成熟後に基質から離脱)
砂泥底・礁斜面(水深1-30m)
インド洋・西太平洋
