生態と外見
カメ目オサガメ科に属する現生最大のウミガメで、甲長 1.5〜2 m 級・体重数百 kg に達する。他のウミガメと異なり硬い甲板を持たず、革のような皮膚に縦の隆起 (キール) が走る独特の背甲を持つ。世界中の海に広く分布し、外洋を回遊しながら主にクラゲを食べる。
他分類との違い
ウミガメ科の各種が角質の甲板で覆われた硬い甲羅を持つのに対し、本種は骨板が小さく、油を含んだ厚い皮膚に覆われた柔軟な背甲を持つ点で大きく異なり、独立したオサガメ科に分類される。クラゲ食に特化し、口から食道にかけて後ろ向きの棘 (パピラ) が並び、滑りやすい獲物を逃さない構造を持つ。
名前の由来
学名 Dermochelys coriacea の Dermochelys はギリシャ語 derma (皮膚) + chelys (カメ) で「皮膚のカメ」を意味し、革状の背甲に由来する。coriacea はラテン語「革のような」を表す。和名「オサガメ」は背甲の隆起を機織りの道具「筬 (おさ)」に見立てた呼称とされる。
興味深い特徴
体内で発生する熱と大型の体、血管の対向流熱交換などにより、周囲の海水より高い体温を保つことができ、冷たい高緯度の海まで進出できる数少ない爬虫類として知られる。深い潜水能力を持ち、1000 m を超える深さまで潜った記録がある。
明日使えるうんちく
主食のクラゲと海中を漂うビニール袋を見分けられず誤飲する例が報告されており、海洋プラスチック汚染の被害を象徴する種としてしばしば取り上げられる。砂浜に上陸して産卵する際には大量の卵を産むが、孵化後に海へ到達できる個体はごくわずかである。