概要
生態と外見
カメ目リクガメ科の世界最大級陸生カメで、雄は甲長 1.2〜1.5 m・体重 200〜400 kg 級。甲羅形状は生息島の植生に応じ「ドーム型 (草本豊富な高地、首が短い)」と「サドル型 (鞍状、サボテン採食用に首が長く伸ばせる)」の 2 型に大別される。エクアドル領ガラパゴス諸島の固有種で、現在 14-15 亜種が認められ (絶滅 4 亜種を含めて 18-19 亜種、Caccone et al. 2002 / Poulakakis et al. 2020 系統解析以降の整理)、合計約 60,000 頭級が生息。完全草食性。IUCN レッドリストでは Critically Endangered (CR) 評価。
他分類との違い
同科のアルダブラゾウガメ Aldabrachelys gigantea (インド洋アルダブラ環礁固有) と並ぶ「巨大化したリクガメ」だが、両者は別属で別系統。形態的にはガラパゴスのサドル型甲羅と長い頸が大型化に特化した独自進化を示す。中南米の Chelonoidis 属内では、本種が最大化し島嶼隔離による島嶼巨大化 (insular gigantism) の典型例。
名前の由来
学名 Chelonoidis niger の Chelonoidis はギリシャ語 khelōnē (カメ) の指小形、niger はラテン語「黒い」で、初期記載個体の甲羅色に由来。かつて Geochelone nigra と分類されていたが、2007 年の系統解析で Chelonoidis 属に再編。和名は産地と象足のような太い後肢から。
興味深い特徴
ダーウィンが 1835 年にビーグル号で訪問した際、各島の甲羅形状の違いから「種は不変ではない」着想を得たエピソードが進化論成立の起点として知られる。長寿で野生 100 年以上、飼育下 170 年超 (1830 年代に捕獲された Harriet が 2006 年に 175 歳前後で死亡) の記録あり。
明日使えるうんちく
サドル型甲羅は乾燥地のサボテン (Opuntia) を首を伸ばして食べる適応で、ドーム型は湿潤高地で背の低い植物を地表採食する。最後のピンタ島亜種「Lonesome George (孤独なジョージ)」は 2012 年に死亡し、亜種絶滅の象徴となった。近年は人工授精と他亜種との交雑による遺伝子救出計画が進行している。
基本情報
Chelonoidis niger
チェロノイディス・ニゲル
Galapagos tortoise
ガラパゴストータス
