概要
生態と外見
クジラ目マイルカ科の中型イルカで、全長 2.0〜4.0 m・体重 150〜650 kg 級。背面青灰色〜暗灰色、腹面淡灰白色で、吻部が短く太い (英名 Bottlenose の由来)。世界中の温帯〜熱帯海域に広く分布し、沿岸型と遠洋型の 2 つの主要エコタイプが認められる。雑食性で魚類・イカ・甲殻類を捕食。IUCN レッドリストでは Least Concern (LC) 評価。
他分類との違い
同属 Tursiops のミナミハンドウイルカ T. aduncus と外見が酷似するが、本種は体格が大きく腹面が無斑、ミナミ種は腹面に斑点を持つことが多く沿岸性が強い。マダライルカ Stenella attenuata 等の他属マイルカ科と比べ吻部が短く頭部丸みがある。シャチ Orcinus orca と同科だが約 1/10 の体格で対照的。
名前の由来
学名 Tursiops truncatus の Tursiops はラテン語 tursio (イルカ・ネズミイルカの古名) + ギリシャ語 ops (顔)、truncatus は「切り取られた」で短い吻部を表す。和名「バンドウ (坂東)」は古日本語で関東地方を指し、太平洋岸の関東沖で多く目撃されたことから江戸期に命名された。
興味深い特徴
水族館で最も飼育される鯨類で、鏡像自己認識 (Gallup test) を通過する数少ない動物 (霊長類・ゾウ・カササギと並ぶ) として知られる。エコロケーション (反響定位) で水中の小物体を識別し、個体ごとに「signature whistle (個体識別音)」を持つ。これは生涯にわたって変化しない自己アイデンティティを音として表現する数少ない例。
明日使えるうんちく
「ドルフィンセラピー」の代表種で、自閉症等の補助療法として 1970 年代以降普及したが、近年は科学的根拠が限定的との指摘もあり議論が続いている。米軍は冷戦期からバンドウイルカを機雷探知・潜水士護衛に訓練しており、Marine Mammal Program として現在も継続。野生での寿命は 40〜50 年、飼育下では 60 年超の記録あり。
基本情報
Tursiops truncatus
トゥルシオプス・トルンカトゥス
Common bottlenose dolphin
コモンボトルノーズドルフィン
