概要
生態と外見
ツツイカ目アカイカ科スルメイカ属の中型十腕類で、外套長 20〜30 cm・全長 30〜50 cm、体重 200〜500 g 級。体形は細長く後端に三角形の鰭を持ち、強い遊泳力で時速 30 km 級の高速遊泳が可能。体色は淡赤褐色〜灰白色。日本海・東シナ海・オホーツク海・北西太平洋に分布し、季節回遊で夏は北上 (北海道・サハリン沖)、冬は南下 (東シナ海・対馬海峡) する。小魚・甲殻類・他のイカを採食。
他分類との違い
同じツツイカ目アカイカ科のアカイカ Ommastrephes bartramii (亜熱帯外洋性) と比べ、本種は寒帯〜温帯沿岸性で外洋には進出しない。同科のホタルイカ Watasenia scintillans (発光) とは異なり本種は発光しない。同じヤリイカ科のヨーロッパヤリイカ Loligo vulgaris と比べ、本種は鰭が短く外套形状がやや膨らむ。
名前の由来
学名 Todarodes pacificus の Todarodes はイタリアの動物学者 F. Todaro 由来の属名。種小名 pacificus は太平洋分布を示す (Steenstrup 1880 記載)。和名「スルメイカ」は古来の保存食「するめ」の主原料種であることに由来し、漢字「鯣烏賊」の鯣 (するめ) は乾燥保存したイカ全般の総称。
興味深い特徴
水面上を「滑空 (gliding)」する行動が観察されており、水面付近で外套から噴流を出して跳び上がり、鰭と腕を広げて 10〜30 m を 1〜3 秒で滑空する事例が記録されている (Maciá et al. 2004)。逃避行動と推定される。英名 Japanese flying squid はこの行動に由来する。
明日使えるうんちく
日本のイカ漁業の主力対象種で、年間漁獲量は 1990 年代に 50 万トン超を記録したが、2010 年代以降は海水温変動で大幅減 (2020 年代は 3〜6 万トン)。漁業上の重要種として国際機関 (北太平洋漁業委員会 NPFC) で資源管理される。日本では刺身・スルメ・塩辛・イカ徳利と幅広く加工される。
基本情報
Todarodes pacificus
トダロデス・パキフィクス
Japanese flying squid
ジャパニーズフライングスクイッド
30〜50 cm(全長(外套長20-30cm))
200〜500 g
肉食(小魚・甲殻類・他のイカ)
沿岸〜表層(季節回遊で南北移動)
日本海・東シナ海・オホーツク海・北西太平洋
