概要
生態と外見
コウイカ目コウイカ科 Ascarosepion 属 (旧 Sepia 属) の大型十腕類で、外套長 30〜52 cm・全長 50〜100 cm、体重 5〜10 kg 級と現生コウイカ類で最大。体色は灰白色〜赤褐色で、繁殖期の雄は鮮やかなゼブラ模様・斑点模様を瞬時に切り替えながら雌に求愛する。オーストラリア南部沿岸 (西オーストラリア州〜ニューサウスウェールズ州・タスマニア) の岩礁・海藻帯 (水深 0〜100 m) に分布。エビ・カニ・小魚を採食。
他分類との違い
同科のヨーロッパコウイカ Sepia officinalis と比べ、体格が約 2 倍大きく分布が南半球に限定される。同じく cuttlebone を持つコウイカ類の中で本種は最大級。同属 (旧 Sepia 群) の他種と異なり、毎年冬季にスペンサー湾 (南オーストラリア州) で数万個体が一斉に集まる繁殖集合を行う点で特異。
名前の由来
学名 Ascarosepion apama の Ascarosepion はラテン語化したギリシャ語の合成 (近年の分類学的再評価で Sepia 属から分離した属名)。種小名 apama はギリシャ語 apamátos に近い綴りで、明確な語源は議論される (Gray 1849 記載時の原典記述では明示なし)。和名「オーストラリアコウイカ」は分布域に由来する。
興味深い特徴
南オーストラリア州スペンサー湾の繁殖集合は毎年 5〜8 月に発生し、最盛期には 1 ヘクタール当たり数百個体が密集する世界的に稀な海洋現象。雄は雌に対する求愛で「ペイント」とも称される複雑な皮膚模様を示し、複数の雄が雌を巡って模様を変化させる視覚的競合を繰り広げる (Hanlon et al. 2005)。小型の雄は雌の模様を模倣する mimicry 戦略で大型雄を avoidance しつつ繁殖機会を得る。
明日使えるうんちく
スペンサー湾の繁殖集合は近年個体数が変動傾向にあり、生態系指標として国際的に注目される。日本ではほとんど流通せず、オーストラリアでは food fishery 対象だが、繁殖集合期の漁獲制限が法律で定められている。学名上は近年 Ascarosepion 属に移されたが、現場では Sepia apama として通称される (商業統計や分類表示では両表記が混在)。
基本情報
Sepia apama
アスカロセピオン・アパマ
Giant Australian cuttlefish
ジャイアントオーストラリアンカトルフィッシュ
50〜100 cm(全長(外套長30-52cm)・現生コウイカ類最大)
5〜10 kg
肉食(エビ・カニ・小魚)
岩礁・海藻帯(水深0-100m)
オーストラリア南部沿岸(西オーストラリア州〜ニューサウスウェールズ州・タスマニア)
