概要
生態と外見
テンジクザメ目ジンベエザメ科の現生最大魚類で、全長 8〜12 m・体重 12〜20 t 級、最大記録 18.8 m。背面青灰色〜暗灰色に白〜淡黄の斑点と縞模様が散在し、模様は個体ごとに異なり個体識別に利用される。世界の熱帯・亜熱帯海域 (北緯 30 度〜南緯 35 度) を回遊する単独性。プランクトン (オキアミ・カイアシ類)・小魚・イカを濾過摂食する完全フィルターフィーダー。IUCN レッドリストでは Endangered (EN) 評価 (2016 年改訂、Vulnerable から引き上げ)。
他分類との違い
サメ類で例外的にプランクトン濾過摂食を行うのは本種・ウバザメ Cetorhinus maximus・メガマウス Megachasma pelagios の 3 種で、本種は表層遊泳しながら大口を開ける「能動濾過 (active feeding)」を行う点でウバザメ (受動濾過) と異なる。普通のサメ類 (ホホジロザメ等) と比べ歯は退化し小さく、口は頭部前端に位置する (他のサメは頭部腹側)。
名前の由来
学名 Rhincodon typus の Rhincodon はギリシャ語 rhinkhos (吻) + odon (歯) の合成で「鼻の歯」を意味し、口腔内の小歯列を表す。和名「ジンベエ (甚兵衛・甚平)」は江戸期庶民の作業衣「甚平」の縦縞模様に似ることから。
興味深い特徴
1995 年台湾沖で捕獲された妊娠雌から 304 個の胎仔が確認され (Joung et al. 1996)、繁殖は卵胎生で 300 匹超の幼魚を産むことが示された (飼育下繁殖は世界的に未確認)。寿命は 100 年超とされ、皮膚の厚さは 10〜15 cm と動物界最厚水準。日本では沖縄美ら海水族館 (1995 年〜) と大阪海遊館 (1990 年〜) で長期飼育に成功している。
明日使えるうんちく
回遊経路解明のため衛星標識追跡が世界規模で行われており、フィリピン・オスロブ、メキシコ・ホルボックス、オーストラリア・ニンガルー礁などプランクトン豊富な海域に集合する。観光業との両立のため「触らない・餌付けしない」原則の eco-tourism ガイドラインが各国で整備されている。和歌山県串本沖でも稀に目撃される。
基本情報
Rhincodon typus
リンコドン・ティプス
Whale shark
ホエールシャーク
800〜1200 cm(全長)
プランクトン食(プランクトン・小魚をろ過)
外洋・沿岸表層
世界中の暖かい海
