概要
生態と外見
ピウレ Pyura chilensis は南東太平洋 (チリ・ペルー沿岸) の潮間帯〜浅海 (水深 0〜25 m) に生息する大型ホヤで、岩盤上で群体ではなく単独個体として固着する。殻 (被嚢、tunic) は革質で岩石に擬態し、体長 10〜30 cm 級。内部は鮮赤色の組織で、これがピウレ料理の食材となる。
他分類との違い
同じ Stolidobranchia 目 (側鰓目) でも Pyuridae 科は被嚢が革質で岩擬態が顕著。Ciona 属などの Phlebobranchia 目とは形態が大きく異なる。Ascidiacea 綱 (ホヤ綱) は脊索動物門 (Chordata) に属し、幼生期に脊索を持つ。
名前の由来
属名 Pyura は古ギリシャ語起源とされるが諸説あり、語源は確実でない。種小名 chilensis は「チリ産」の意。マプチェ語起源とされる「ピウレ piure」がチリでの一般呼称。
興味深い特徴
本種は雌雄同体 (hermaphrodite) で、近隣に同種個体が居ない場合は自家受精も可能。血液中に高濃度のバナジウム (V) を蓄積する点で稀有 (海水中の 10 万倍以上、Michibata et al., 2003)。バナジウムの生理学的役割は未解明だが、被嚢の生合成や酸化還元代謝への関与が議論されている。
明日使えるうんちく
チリ沿岸の市場では「Piure」として赤色の内部組織を生食または煮込み料理に用いる伝統食材で、ヨウ素濃度が極めて高い (Castro & Vigh, 2007 他)。本種は岩擬態のため発見しにくく、漁師は岩を見極めて潜水・採取する。
基本情報
Pyura chilensis
ピウラ チレンシス
Chilean piure
チリアンピウレ
10〜30 cm(体長。被嚢は革質で岩擬態)
濾過食(プランクトン・有機懸濁物)
固着(岩盤上に単独で固着)
潮間帯〜浅海岩盤(水深0-25m)
南東太平洋(チリ・ペルー沿岸)
