概要
生態と外見
オオコウモリ科オオコウモリ属の大型コウモリで、コウモリ目最大級。体長 27〜32 cm・翼開長 1.5 m 級・体重 0.65〜1.1 kg 級。全身濃褐色〜黒色の体毛、頭部と頸部は赤褐色の襟状毛で覆われ、犬・キツネに似た顔貌から英名 Flying fox。エコーロケーション能力を持たず、視覚と嗅覚で果実を探す果食性 (frugivore)。マレー半島・インドネシア・フィリピン南部の熱帯雨林に分布、日中は数千〜数万頭の集団で枝にぶら下がって休息。IUCN レッドリストでは Near Threatened (NT) 評価。
他分類との違い
コウモリ目の他亜目 (旧称 Microchiroptera = ココウモリ系統群) と比べ、オオコウモリ科 (Pteropodidae) を含む系統群はエコーロケーションを持たず (一部のロウセツコウモリ属 Rousettus は舌打ち式エコーロケーションを発達させた例外)、視覚・嗅覚に依存する点が大きな違い。同属内では本種・インドオオコウモリ P. giganteus と並びオオコウモリ属で最大級の体格。
名前の由来
学名 Pteropus vampyrus の Pteropus はギリシャ語 pteros (翼) + pous (足) で「翼のような足」、種小名 vampyrus は「吸血鬼の」を意味する。命名当時 (1758 年リンネ命名) の西洋人は本種を吸血種と誤解しており命名に反映されたが、実際の本種は完全な果食性で吸血しない。英名・和名はジャワ島や分布域・大きさに由来。
興味深い特徴
果実食コウモリとして熱帯雨林の重要な種子散布者で、フィカス属 (イチジク類)・マンゴー類など多数の樹種の繁殖を媒介する。1 晩で数十 km の採食飛行が観察され、生態系での種子移動範囲は他の果実食動物を大きく上回る。集団休息地 (camp/roost) は同一の場所が世代を超えて利用され、数百年単位で固定的に維持される例がある。
明日使えるうんちく
コウモリ目はヒト感染症の重要な自然宿主で、近縁種を含むオオコウモリ属からニパウイルス・ヘンドラウイルスの分離例がある。マレーシア・シンガポール・インドネシアの一部地域では食用としても利用されるが、人獣共通感染症リスクから WHO は摂食制限を勧告している。
基本情報
Pteropus vampyrus
プテロプス・ヴァンピュルス
Large flying fox
ラージフライングフォックス
