概要
生態と外見
ウシ科ヒツジ属の中型偶蹄類で、体長 1.0〜1.5 m・体高 65〜90 cm・体重 45〜160 kg 級 (品種により大きく異なる)。体毛は密生した毛糸質の被毛 (羊毛) で、品種により白色・黒色・茶色等多様。雄は螺旋状の角を持ち、雌は角を持たない品種が多い。家畜化された種で原産地はメソポタミア・小アジアで、紀元前 11,000〜9,000 年頃にムフロン Ovis orientalis (またはアジアムフロン Ovis aries の野生型) から家畜化された (Zeder 2008, Proc Natl Acad Sci 105:11597-11604)。世界中で羊毛・羊乳・羊肉生産のため広く飼養される。
他分類との違い
同科のヤギ Capra hircus と比べ、雄の角が螺旋状に外側へ巻く点 (ヤギは後方へ湾曲)、尾が短く下垂する点、頬下部に髭がない点で識別される。同属の野生種ムフロン Ovis orientalis・ビッグホーン Ovis canadensis・ユキヒツジ Ovis dalli と比べ、被毛が毛糸質に特化し蹄が縮小、家畜化に伴う形態変化が顕著。
名前の由来
学名 Ovis aries の Ovis はラテン語「ヒツジ」、種小名 aries もラテン語「雄羊」を意味する (星座おひつじ座の語源と同源)。和名「ヒツジ」は古語「ヒツジ (羊)」に由来し、漢字「羊」は甲骨文字以来の象形文字で、頭部の角と顔を表す。英名 sheep はゲルマン祖語 skæpan に遡る。
興味深い特徴
家畜化された哺乳類で世界に約 13 億頭が飼養され (FAO 2022)、人類の食料・繊維生産で最も重要な家畜の一つ。羊毛の生産はメリノ種をはじめ多様な品種で行われ、品種数は世界で 1,000 を超える。羊乳はチーズ (ロックフォール・ペコリーノ等) の原料として地中海・中東で長い伝統を持つ。
明日使えるうんちく
世界初の体細胞核移植による哺乳類クローン「ドリー」(1996 年 7 月 5 日誕生、英国ロスリン研究所) は本種フィンランド系ドーセット種で、Wilmut らの研究で成功した (Wilmut et al. 1997, Nature 385:810-813)。ドリーは 2003 年 2 月に死亡し、現在スコットランド国立博物館に剥製として展示されている。
基本情報
Ovis aries
オヴィス・アリエス
Domestic sheep
ドメスティックシープ
