概要
生態と外見
霊長目オナガザル科の大型のサルで、頭胴長 60〜75 cm 級、体重はオスで 20 kg 前後とメスより大きい。オスの垂れ下がった大きな鼻が最大の特徴で、赤褐色の体に灰色の四肢をもつ。ボルネオ島の沿岸部、マングローブ林や川沿いの森に生息し、若葉や未熟な果実を主に食べる。
他分類との違い
同じオナガザル科でも、本種はコロブス亜科に属し、葉を発酵分解するための複数の部屋に分かれた胃をもつ点で、果実食中心のマカク類などと異なる。オスの巨大な鼻はサルの中でも際立って特異で、近縁のドゥクラングール類などにも見られない本属特有の形質である。
名前の由来
学名 Nasalis larvatus の属名 Nasalis はラテン語 nasus (鼻) に由来し、目立つ鼻にちなむ。種小名 larvatus は「仮面をつけた」を意味する。和名「テングザル」は、長く垂れた鼻を日本の天狗の鼻に見立てたもので、英名 Proboscis monkey も「鼻の大きなサル」を意味する。
興味深い特徴
オスの大きな鼻は、鳴き声を反響させて音量を増す共鳴器として働き、メスへのアピールや他のオスへの威嚇に役立つと考えられている。手足の指の間に水かき状の皮膚があり、川を泳いで渡るのが得意で、木の上から水面へ飛び込むこともある。
明日使えるうんちく
葉の発酵で生じるガスのため腹が大きく膨れて見え、その姿から現地で愛嬌ある呼び名で親しまれている。一頭のオスと複数のメス・子からなるハレム群が、川沿いで複数集まって眠る習性も知られる。
基本情報
Nasalis larvatus
ナサリス・ラルウァトゥス
Proboscis monkey
プロボシスモンキー
60〜75 cm(頭胴長)
オス 16〜22 kg / メス 7〜12 kg(オスが大型)
15〜20 年(飼育下)
葉食(若葉や未熟な果実)
昼行性
マングローブ・河畔林
ボルネオ島
