概要
生態と外見
イタチ科カワウソ属の中型水陸両棲哺乳類で、体長 60〜90 cm・尾長 36〜47 cm・体重 7〜12 kg 級 (雄が大型)。体色は背側が暗褐色、腹側は灰白色で、首の前面が明色になる。流線型の体型と発達した水掻きを持ち、水中での遊泳・潜水に適応する。ヨーロッパ・ロシア・中国・東南アジア・インドの河川・湖沼・河口域に広域分布し、日本ではかつてニホンカワウソ Lutra lutra nippon (亜種扱い) が生息したが 1979 年の高知県須崎での確認を最後に絶滅。IUCN レッドリストでは Near Threatened (NT, 2014 評価)。
他分類との違い
同科のカナダカワウソ Lontra canadensis と比べ、属レベルで分離されており (Lutra vs Lontra)、本種は旧大陸の固有種、Lontra 属は新大陸 (北米・南米) に分布する。同所的に分布するイタチ科他種 (ミンク・テン等) と異なり、半水生生活への高度な適応 (水掻き・短い四肢・流線型) を持つ。
名前の由来
学名 Lutra lutra の Lutra はラテン語「カワウソ」、属名・種小名ともに同綴り (タウトニム)。和名「ユーラシアカワウソ」は分布域 (ユーラシア大陸全域) を冠した呼称で、本種を旧来の単に「カワウソ」と呼んでいた表記からの精度向上として近年定着しつつある。英名 Eurasian otter も同分布由来。
興味深い特徴
夜行性が強く、河川・湖沼の岸辺に縄張りを構え、糞 (スプレント spraint) を縄張り標識として目立つ岩や橋脚に残す習性がある。糞の臭いは個体識別に用いられ、個体群調査では糞の DNA 解析が標準手法。日本のニホンカワウソは江戸期まで本州全域に生息し、20 世紀の毛皮目的乱獲と河川環境悪化で減少、四国を最後の生息地として絶滅した。
明日使えるうんちく
ヨーロッパでは 20 世紀後半の有機塩素系農薬 (PCB・DDT) の生物濃縮で個体数が激減したが、規制強化と河川水質改善により 1990 年代以降英国・ドイツ・オランダ等で回復している。日本での再導入議論は環境省・地方自治体で継続的に検討されているが、現時点で公式な計画はない。
基本情報
Lutra lutra
ルトラ・ルトラ
Eurasian otter
ユーラシアンオッター
