概要
生態と外見
キツネザル科ワオキツネザル属の中型原猿類で、体長 39〜46 cm・尾長 56〜63 cm (体長より長い)・体重 2.2〜3.5 kg 級。灰褐色の体毛に白い腹面、黒と白の輪が 13〜15 段交互する長尾が特徴 (英名 Ring-tailed lemur の由来)。顔は白く、両眼の周囲に黒い隈取りがある。マダガスカル島南部・南西部の乾燥疎林・岩場・棘林帯に固有分布。雑食性で果実 (タマリンドを好む) を中心に葉・花・昆虫を採食。IUCN レッドリストでは Endangered (EN) 評価。
他分類との違い
同科の他属 (エリマキキツネザル属 Varecia・チャイロキツネザル属 Eulemur 等) と比べ、地上での活動時間が顕著に長く (約 30%)、輪状尾を直立して群れ移動時の旗印として用いる点で独自性が高い。原猿類全体の特徴として、後肢の第 2 指に毛繕い用の長い爪 (toilet claw) を持ち、下顎の前歯と犬歯で構成される歯櫛 (tooth comb) で毛繕いする点が真猿類と異なる。
名前の由来
学名 Lemur catta の Lemur はローマ神話の死者の霊「レムレス」に由来し、夜行性の眼が光る原猿類への命名 (リンネ 1758 年命名) として霊的イメージから付けられた。種小名 catta はラテン語「猫」を意味し、ヒソヒソ声や姿勢を猫に喩えたとされる。和名「ワオキツネザル」は「輪尾 (わお)」+「狐猿」で、輪のある尾と狐に似た顔から。
興味深い特徴
雌優位社会 (female dominance) は霊長類で稀な特徴で、雌が雄に優先して餌・休息場所を獲得し、雄は他群への移籍を強いられる。雄同士の縄張り争いでは前腕の臭腺から分泌された油性物質を尾に塗り込み、相手に向かって尾を振って臭いを浴びせる「スティンク・ファイト (stink fight)」と呼ばれる行動が観察される。
明日使えるうんちく
朝の日光浴行動 (sun-bathing) は腹面を太陽に向け両手を広げる独特の姿勢で、体温調節と寄生虫殺菌の機能を持つとされる。マダガスカルは隔離島で約 8,800 万年前にアフリカ大陸から分離し、その後 5,000 万年前頃にアフリカからの漂着祖先からキツネザル類が独自に放散した。
基本情報
Lemur catta
レムル・カッタ
Ring-tailed lemur
リングテイルドレマー
