概要
生態と外見
テンジクネズミ科カピバラ属の大型げっ歯類で、世界最大の現生げっ歯類。体長 1.0〜1.3 m・体重 35〜66 kg 級 (雌の方がやや大型)。短く硬い赤褐色〜灰褐色の体毛、樽型のがっしりした体型、頭部前方に位置する眼・耳・鼻 (半水生適応で水面上に残せる配置)、指間に部分的な水掻きを持つ。南米 (パナマ南部〜アルゼンチン北部) の湿地・河岸・湖沼周辺の草原に分布。半水生で、群れ (10〜20 頭) で生活する草食性。IUCN レッドリストでは Least Concern (LC) 評価。
他分類との違い
同科のマーラ属 Dolichotis・モルモット属 Cavia と比べ、本属は半水生適応 (足の水掻き・潜水能力・水中採食) と大型化で独自進化を遂げた。同属にコビトカピバラ H. isthmius (中米産、3〜5 倍小型) があり 2 種で属を構成する。げっ歯類目全体で最大種であり、第 2 位のビーバー (15〜30 kg 級) を大きく上回る。半水生哺乳類としてはカワウソ類・ビーバーと収斂的だが、げっ歯類で水生適応を遂げた数少ない属の一つ。
名前の由来
学名 Hydrochoerus hydrochaeris の Hydrochoerus はギリシャ語 hydōr (水) + choiros (豚) で「水の豚」、種小名 hydrochaeris も同義の重複。属名と種小名がほぼ同義語の重複命名はリンネ式命名で稀な例。和名・英名「カピバラ」は南米トゥピー語族 kapiyba (草を食べるもの) に由来。旧和名「オニテンジクネズミ」は学術命名だが、近年は媒体露出により「カピバラ」が一般通称として完全に定着した。
興味深い特徴
5 分以上の潜水と水中での休息・睡眠が可能な半水生適応を持ち、捕食者 (ジャガー・カイマン・大型猛禽) からの逃避と体温調節に水場を活用する。盲腸での発酵消化と糞食 (caecotrophy、自身の柔らかい糞を再摂取) によりセルロース消化効率を高める仕組みは、げっ歯類・ウサギ目で共通する戦略。
明日使えるうんちく
異種動物との親和性が高いことで知られ、野生・飼育下で多種類の動物 (鳥・カメ・サル・ネコ等) と共存する写真が広く流布する。日本では 1980 年代に飼育下個体の温泉入浴行動が観察されて以降、冬季風物詩として定着した。
基本情報
Hydrochoerus hydrochaeris
ヒドロコエルス・ヒドロカエリス
Capybara
カピバラ
