概要
生態と外見
クマ科マレーグマ属 (単型属) の小型クマで、クマ科最小種。体長 1.0〜1.5 m・体重 25〜65 kg 級。全身黒色の短い体毛、胸に黄白色の U 字または三日月形の斑紋 (英名 Sun bear の由来)、極端に長い舌 (20〜25 cm、白蟻採食用)、長く湾曲した爪を持つ。東南アジア (マレー半島・スマトラ・ボルネオ・インドシナ) の熱帯雨林に分布。雑食性で果実 (イチジク類)・白蟻・蜂蜜・小動物を採食。IUCN レッドリストでは Vulnerable (VU) 評価。
他分類との違い
クマ科の他属 (Ursus・Tremarctos・Melursus) と比べ、本属 Helarctos は単型属で、体格の小ささ・短毛・熱帯雨林への適応で独自系統を形成する。ツキノワグマ Ursus thibetanus とは胸斑紋の形状 (マレーグマは U 字/三日月、ツキノワグマは半月)・体格・分布で識別される。ナマケグマ Melursus ursinus とは舌の長さ (両種とも長舌で、ナマケグマがアリ・シロアリ吸引採食用にさらに長く特化、25〜30 cm 程度の文献値) と分布で区別される。
名前の由来
学名 Helarctos malayanus の Helarctos はギリシャ語 hēlios (太陽) + arktos (クマ) で、胸の黄白色斑紋を太陽に見立てた命名。種小名 malayanus は「マレーの」の意。英名 Sun bear も胸斑紋に由来。和名「マレーグマ」は分布地に基づく命名で、英名 Malayan bear から訳出された。
興味深い特徴
クマ科最小種で熱帯雨林林冠に登攀して採食する樹上適応が発達し、長い湾曲した爪と裸出した足底で樹幹を強く掴む。20〜25 cm の長舌は蜂蜜と白蟻塚から獲物を引き出す用途に特化し、英名のもう一つの俗称 Honey bear の由来。冬眠せず一年中活動する点も温帯クマ類との大きな違い。
明日使えるうんちく
胸の斑紋は個体ごとに形・大きさ・色彩が異なり、識別マーカーとして用いられる。生息地破壊と胆汁採取目的の密漁が個体数減少の主因で、東南アジアの一部地域では「ビレ・ファーミング (胆汁牧場)」と呼ばれる飼育下胆汁採取が国際的批判を受けている。
基本情報
Helarctos malayanus
ヘラルクトス・マラヤヌス
Sun bear
サンベア
