概要
生態と外見
アシカ科トド属の大型鰭脚類で、アシカ科では最大種。体長 2.4〜3.3 m・体重 300〜1,100 kg 級 (雄が大型)。体色は淡褐色〜赤褐色で、雄は首から肩にかけて長い体毛 (たてがみ状) が発達する。北太平洋亜寒帯 (アラスカ湾〜カリフォルニア北部〜カムチャツカ〜オホーツク海〜北海道) に分布し、岩礁島・流氷帯で出産・休息する。日本では北海道襟裳岬・知床・道東沿岸に冬季回遊個体が来遊する。魚類・イカ・タコを採食。IUCN レッドリストでは Near Threatened (NT, 2016 評価)。
他分類との違い
同科のカリフォルニアアシカ Zalophus californianus と比べ、体格が約 2〜3 倍大きく、雄のたてがみがより発達する点で識別される。アシカ科の他属 (オットセイ属 Callorhinus・キタオットセイ亜科) と異なり、密生した下毛 (アンダーファー) を持たず、皮下脂肪での保温に依存する。
名前の由来
学名 Eumetopias jubatus の Eumetopias はギリシャ語 eu (良き) + metōpon (額) で「立派な額の」、種小名 jubatus はラテン語「たてがみのある」を意味する。和名「トド」は江戸期のアイヌ語「トトリ」または北方諸民族の呼称に由来するとされる (語源は諸説あり)。英名 Steller sea lion は本種を 1741 年カムチャツカ近海で記録したドイツの自然史家 Georg Wilhelm Steller (1709-1746) に由来。
興味深い特徴
20 世紀後半に北太平洋西部集団 (アラスカ西部・アリューシャン列島) が急速に減少し、1990 年に米国海洋大気庁により絶滅危惧種指定された経緯がある (Trites & Donnelly 2003)。減少要因は商業漁業との競合・栄養状態低下・海水温変動の複合とされ、現在も研究が継続している。日本沿岸の越冬個体群は北海道で水産業との競合 (漁網被害) が問題化している。
明日使えるうんちく
雄は繁殖期に岩礁島で 10〜30 頭の雌からなるハーレムを形成し、激しい縄張り闘争を行う。1741 年 Steller によるカムチャツカでの観察記録は、本種・キタゾウアザラシ・ステラーカイギュウ等北太平洋の海生哺乳類が西洋世界に初めて系統的に紹介された歴史的航海記録の一つ。
基本情報
Eumetopias jubatus
エウメトピアス・ユバトゥス
Steller sea lion
ステラーシーライオン
