概要
生態と外見
無尾目ヤドクガエル科の小型カエルで、体長 4〜5 cm 級とヤドクガエル科では大型の部類。黒地に青や黄の鮮やかな斑紋を持ち、地域個体群ごとに模様が大きく異なる (青色型は「アズレウス」として知られる)。南米のギアナ高地 (ギアナ・スリナム・ブラジル北部) の熱帯雨林の林床に生息し、昼行性でアリ・ダニ・小型節足動物を捕食する。
他分類との違い
同属 Dendrobates のマダラヤドクガエル D. auratus と比べ、体格がやや大きく、体色の地域変異の幅が広い点で識別される。アマガエル科 Hylidae の樹上性カエルと異なり、本科は主に林床で活動し、強い警告色 (アポセマティズム) を持つ点が特徴。鳴き声は弱く、本種は静かなカエルとして知られる。
名前の由来
学名 Dendrobates tinctorius の Dendrobates はギリシャ語 dendron (木) + bates (歩く者) で「木を歩くもの」を意味し、tinctorius はラテン語「染める」に由来する。先住民が本種の分泌物をオウムの羽の色を変えるのに使ったという伝承がこの種小名の背景とされる。和名「アイゾメ (藍染)」も同じく染色の言い伝えにちなむ。
興味深い特徴
ヤドクガエル科の毒 (アルカロイド系) は自前で合成するのではなく、餌のアリ・ダニ等から取り込んだ前駆物質に由来し、飼育下で適切な餌を与えないと毒性をほとんど持たないことが知られる。雄が縄張りを持ち、孵化したオタマジャクシを背に乗せて樹上の水たまり (葉腋やパイナップル科植物の貯水部) へ運ぶ子育て行動が観察される。
明日使えるうんちく
鮮やかな体色は捕食者への「自分は危険だ」という警告色で、近縁種間で模様を似せるミューラー型擬態の研究対象にもなっている。ペットとして人気が高く、飼育下繁殖個体が広く流通している。
基本情報
Dendrobates tinctorius
デンドロバテス・ティンクトリウス
Dyeing poison frog
ダイングポイズンフロッグ
4〜5 cm(体長)
飼育下(肉食)
アリ・ダニ・小型節足動物(昼行性)
