概要
生態と外見
アイアイ科アイアイ属の中型原猿類で、体長 36〜44 cm・尾長 44〜53 cm・体重 2.5〜2.7 kg 級。黒色の粗い体毛に白い差し毛、ヒトの新生児大の頭部に対し顕著に大きな眼と耳介、げっ歯類様の常生歯 (生涯伸び続ける) と異常に細長い中指 (第 3 指) を持つ。マダガスカル島の熱帯雨林・乾燥林に固有分布する夜行性で、樹皮下の昆虫幼虫を主に採食する。IUCN レッドリストでは Endangered (EN) 評価。
他分類との違い
他のキツネザル類 (キツネザル科 Lemuridae 等) と比べ、歯式が大きく異なり (常生歯 + 切歯特化)、独立科 (Daubentoniidae) を構成する。原猿類でありながら、げっ歯類に外見が酷似する点は収斂進化の代表例。第 3 指の細長い形態は他の霊長類には見られない独自形質で、樹皮を叩いて空洞を判別 (打診法 percussive foraging) し穴を開けて幼虫を引き出す用途に特化する。
名前の由来
学名 Daubentonia madagascariensis の属名はフランスの博物学者ルイ・ジャン=マリ・ドーバントン (1716〜1800) に献名されたもの。種小名はマダガスカル産の意。和名・英名「アイアイ」はマダガスカル現地語起源で、現地で本種を見た際の驚きの声から、または「知らない (heh heh)」を意味する忌避表現からなど諸説あり確定していない。
興味深い特徴
中指による打診採食 (percussive foraging) は他の動物では確認されない独自の採食戦略で、樹皮を叩いて反響音から空洞を判別 → 切歯で穴を開ける → 細い中指を差し込んで幼虫を引き出す、という連続動作を行う。打診中の中指の振動速度は秒間 8 回程度で、生態的ニッチとしてはキツツキ (鳥類) と類似する役割を担う。
明日使えるうんちく
マダガスカルの一部地域では現地人に不吉な動物として忌避され、見つけ次第殺されるという伝承的迫害が記録される一方、近年は保護啓蒙活動により減少傾向。20 世紀前半に絶滅したとみなされた時期があり 1960 年代に Petter らがフィールド観察を再開させた経緯があり、生息地破壊と相まって個体数推定は数千頭規模。
基本情報
Daubentonia madagascariensis
ダウベントニア・マダガスカリエンシス
Aye-aye
アイアイ
