概要
生態と外見
カモ目カモ科の大型の水鳥で、全長 1.4〜1.6 m・翼開長 2.0〜2.4 m・体重 9〜12 kg 級と飛べる鳥としては世界最大級。全身白色で、橙色の嘴の基部に黒いこぶ状の隆起 (雄でより大きい) を持つのが名の由来。ユーラシア温帯に自然分布し、北米・オセアニア等に移入されている。湖沼・河川・沿岸の浅水域で水草を主に採食する。
他分類との違い
同属 Cygnus のオオハクチョウ C. cygnus・コハクチョウ C. columbianus と比べ、本種は嘴が橙色 (他種は黄色と黒) で、嘴基部のこぶが目立つ点で容易に識別できる。また泳ぐ際に首を優雅な S 字に曲げ、翼を背に持ち上げる姿勢をとる点も特徴的。鳴き声が小さいことから英名 Mute swan (無口な白鳥) と呼ばれる。
名前の由来
学名 Cygnus olor の Cygnus はラテン語「ハクチョウ」、olor も同じくラテン語で「ハクチョウ」を意味し、属名と種小名が同義語を重ねた構成。和名「コブハクチョウ (瘤白鳥)」は嘴基部のこぶに由来し、英名 Mute swan は他のハクチョウより鳴き声が控えめなことを表す。
興味深い特徴
「無口」とされるが完全に無声ではなく、唸るような声や鼻を鳴らす音を出し、特に飛翔時には翼が「ヒューヒュー」と鳴る独特の風切り音を立てる。番 (つがい) は長期にわたり維持され、縄張り防衛のため翼を持ち上げて威嚇する「ブッシング (busking)」姿勢をとる。
明日使えるうんちく
英国ではテムズ川のコブハクチョウが古くから王室の所有とされ、毎年個体数を数える「スワン・アッピング (Swan Upping)」という伝統行事が今も続く。北米やオーストラリアでは移入個体が在来の水鳥や水草に影響を与える侵略的外来種として扱われる地域もあり、優美さと管理問題の両面を持つ。
基本情報
Cygnus olor
キュグヌス・オロル
Mute swan
ミュートスワン
140〜160 cm(全長)
9〜12 kg
15〜20 年
草食(水草)
昼行性
湖沼・河川・沿岸の浅水域
ユーラシア温帯(北米・オセアニア等に移入)
