概要
生態と外見
ハイエナ科ブチハイエナ属の大型ハイエナで、ハイエナ科最大種。体長 95〜165 cm・体重 45〜80 kg 級 (雌が雄より約 10% 大きい逆性的二型)。黄褐色〜灰色の体毛に黒褐色の不規則な斑点が散在し、頭部は大きく顎は強靭、肩高が腰高より高い (前肢が長い) のがハイエナ科共通の体型。アフリカ大陸サブサハラの草原・サバンナ・半砂漠に広く分布。雑食性で大型獲物の狩猟・腐肉採食・小動物まで広範。IUCN レッドリストでは Least Concern (LC) 評価。
他分類との違い
同科の他属 (シマハイエナ属 Hyaena・カッショクハイエナ属 Parahyaena・アードウルフ属 Proteles) と比べ、本属 Crocuta は唯一の積極的捕食者で、群れ (clan) で大型有蹄類 (ヌー・シマウマ) を狩猟する。シマハイエナ Hyaena hyaena とは体格 (ブチハイエナが大型)、斑紋 (シマハイエナは縞模様)、社会性 (ブチハイエナはより集団的) で識別される。
名前の由来
学名 Crocuta crocuta の crocuta はギリシャ語/ラテン語 krokottas (古代におけるアフリカの捕食動物の呼称) に由来。古代ギリシャ・ローマの博物誌でハイエナ類を指す語として用いられた。英名 Spotted hyena、和名「ブチハイエナ」はいずれも斑紋に由来。
興味深い特徴
雌優位社会と雌の擬陰茎 (pseudo-penis) は哺乳類で極めて稀な形質。雌は雄に体格・順位とも優位で、雌の外陰部はアンドロゲン暴露により雄性化し、尿排泄・交尾・出産がすべて擬陰茎を通じて行われる。新生児致死率が出産時の難産で高くなる代償を払う形質で、進化生物学的に長く議論される。
明日使えるうんちく
骨を粉砕して骨髄まで採食できる強靭な顎は哺乳類最高水準で、シマウマの大腿骨をも砕く咬合力を持つ。「笑い声」と表現される鳴き声は集団の高揚状態を示すコミュニケーション信号で、獲物発見・順位確認・興奮など多様な意味を持つ。腐肉食のイメージが強いが実際には自ら狩猟する獲物の比率が高く、ライオンが本種から獲物を奪う場面も観察される。
基本情報
Crocuta crocuta
クロクタ・クロクタ
Spotted hyena
スポッテドハイエナ
