概要
生態と外見
フクロウ目フクロウ科の世界最大級フクロウで、体長 60〜72 cm・翼開長 1.8〜2.0 m・体重 3〜4.5 kg 級。雌が雄よりやや大きい。全身は茶褐色〜黒褐色の縞模様で、長く水平に伸びた羽角 (耳のように見える羽毛束) を持つ。日本では北海道の知床・根室・道東一部に留鳥として約 200 羽前後 (2023-2024 環境省・(公財)日本野鳥の会調査)、ロシア沿海地方・中国東北部・千島南部に小集団が生息。河川・湖沼の河畔林に依存し、サケ科魚類・両生類・甲殻類を主に捕食する魚食性フクロウ。IUCN レッドリストでは Endangered (EN) 評価。
他分類との違い
同属 Bubo のワシミミズク B. bubo と比べ、明確に河川依存の魚食性で、足趾に滑り止めの細かな突起 (spicules) を持つ。これは魚食性フクロウ属 Ketupa と共通する適応で、近年の分子系統解析で Bubo と Ketupa の関係は議論が続いている (本種を Ketupa blakistoni と記す文献も多い)。耳羽は水平方向に長く、垂直方向のワシミミズクと識別できる。
名前の由来
学名 Bubo blakistoni の blakistoni は、明治初期に函館で活動した英国博物学者 Thomas Wright Blakiston (1832-1891) への献名。日本産動物相の系統的記載で知られ、本州と北海道の動物相境界「ブラキストン線」も同氏の名にちなむ。和名「シマフクロウ」は体の縞模様に由来する。
興味深い特徴
魚食適応の結果、他のフクロウ類で発達した「無音飛行」機構 (風切羽縁の繊毛状構造) は本種で他フクロウより発達が弱い。これは魚が空中の音を聞き取れないため必要性が低く、代わりに浅瀬で待ち伏せる猟法に特化したと考えられる。ペアは生涯結合し、雌雄で交互に「ボッボッ・ウー」と二重唱 (デュエット) を発する。
明日使えるうんちく
知床のシマフクロウ保全では、繁殖密度回復のため給餌池 (人工の魚の供給場所) と人工営巣木が併用されている。アイヌの口承では「コタンコルカムイ (村の守り神)」と呼ばれ、儀礼の対象であった。1971 年に天然記念物指定、1993 年に種の保存法 (国内希少野生動植物種) に追加された。
基本情報
Bubo blakistoni
ブボ・ブラキストニ
Blakiston's fish owl
ブラキストンズフィッシュアウル
