概要
生態と外見
タコ目マダコ科 Amphioctopus 属の小型八腕類で、外套長 5〜8 cm・腕を含めた全長 15〜20 cm、体重 100〜500 g 程度。体色は淡褐色〜灰白色で、腕に沿って暗色の縦縞、目の周りに薄黄色の輪 (和名「メジロ」の由来) を持つ。インド太平洋熱帯〜亜熱帯 (フィリピン・インドネシア・パプアニューギニア・南日本) の砂泥底浅海 (水深 5〜70 m) に分布。砂底に体を埋めながら甲殻類を採食する。
他分類との違い
同科のマダコ Octopus vulgaris (岩礁性) と異なり、本種は砂泥底に生息する。同じ Amphioctopus 属の他種と比べ、ココナッツ殻や貝殻を持ち運ぶ道具行動が顕著な点が特異。同じく砂底性の Octopus 属種は多いが、運搬行動を恒常的に示す種は本種が代表的。
名前の由来
学名 Amphioctopus marginatus の Amphioctopus はギリシャ語 amphí (両側) + octopus で、両側性 (左右対称) の外套形状を指す。種小名 marginatus はラテン語「縁取りの (margo = 縁)」で、腕や目周辺の縁取り状斑紋に由来する (Taki 1964 記載、原記載は日本産個体)。和名「メジロダコ」は目周辺の白い輪を「目白」と見立てた呼称。
興味深い特徴
ヤシ (ココナッツ) の殻や二枚貝の殻を 2 つ集めて運び、危険時にその中に体を隠す道具使用行動が観察されている (Finn et al. 2009、Current Biology)。無脊椎動物として初めて「持ち運ぶ道具」を使う事例として注目され、霊長類・カラス類以外で道具使用が確認された数少ない例となった。
明日使えるうんちく
殻を運ぶ際は 4 本の腕で殻を抱え、残り 4 本で「竹馬歩き (stilt-walking)」のように砂底を歩行する独特の運動を見せる。インドネシアの沿岸ダイビングスポット (ランベ海峡など) で観察容易で、海洋無脊椎動物の認知研究で繰り返し撮影される対象。学名 marginatus は元々日本産個体から記載されたため、日本の海洋生物学にとって由緒ある種。
基本情報
Amphioctopus marginatus
アンフィオクトプス・マルギナトゥス
Coconut octopus
ココナッツオクトパス
15〜20 cm(腕を含めた全長(外套長5-8cm))
100〜500 g
肉食(甲殻類が主)
砂泥底浅海(水深5-70m)
インド太平洋熱帯〜亜熱帯(フィリピン・インドネシア・パプアニューギニア・南日本)
