施設の特徴
九十九島動植物園の特徴
対馬ゆかりの動物と、九十九島の自然をつなぐ展示
九十九島動植物園「森きらら」は、九十九島を望む高台で、ツシマヤマネコ、対州馬、ニホンカモシカ、フンボルトペンギン、キリン、レッサーパンダ、テナガザル類などを飼育する動植物園です。生物展示で特に重要なのは、長崎県の対馬にのみ分布するツシマヤマネコです。野生個体数はおよそ100頭とされる絶滅危惧のネコ科動物で、国内でも保護繁殖計画に参加する限られた施設でしか出会えません。対馬で人の暮らしを支えてきた日本在来馬の一種・対州馬を飼育している点も、長崎らしい固有性です。さらに、九州で個体数が減っている特別天然記念物のニホンカモシカや、15羽のフンボルトペンギンなど、地域の自然史と世界の動物をつなげて見られます。
日本初・日本最大級のペンギン展示で、泳ぎと歩きを観察する
展示方法で最も個性的なのはペンギン館です。約5cmの水深を設けた日本初の極浅水槽では、フンボルトペンギンの足裏や歩く動きを下から観察できます。水中をすばやく泳ぐ鳥という印象が強いペンギンを、陸上でどう体を支え、足を運んでいるのかまで見られるのが面白いところです。さらに、約80平方メートルの日本最大の天井水槽と約4mの深水槽では、頭上をペンギンが泳ぎ、空を飛ぶように通り過ぎる姿を眺められます。水中、陸上、足元、頭上という複数の視点を組み合わせることで、ペンギンの体のつくりと行動を立体的に理解できる展示です。ワオキツネザルの放し飼いエリアや、地上13mの巨大ウンテイを渡るフクロテナガザルの展示も、動物の移動能力を見せる工夫として印象に残ります。
繁殖・飼育の面では、ツシマヤマネコの保全が大きな柱です。森きららは2010年からツシマヤマネコの飼育下繁殖に参加し、2017年までに3匹の誕生に関わってきました。現在も全国の動物園などと連携しながら、個体の移動や繁殖期の組み合わせ、行動観察を重ねています。妊娠や出産が難しい種であるため、交尾行動や発情の把握、観察方法の統一といった地道な飼育技術が欠かせません。森きららの魅力は、かわいらしい動物を近くで見るだけでなく、対馬の野生ネコを次世代につなぐ試行錯誤まで感じられることにあります。ペンギンの泳ぎ、テナガザルの腕渡り、ツシマヤマネコの保全を通して、動物の「見え方」と「守り方」の両方を学べる動植物園です。
