施設の特徴
豊島の森の特徴
荒川水系のいきものを都市の屋上で観察する
豊島の森は、かつて豊島区に見られた台地・谷戸・崖線と水辺の自然を、区役所庁舎の屋上に再構成した都市型の生態展示です。常緑樹・落葉樹・広葉樹などの植栽に加え、荒川水系のいきものを観察できる水槽やビオトープ、小さな流れが設けられ、メダカなど身近な水辺の生きものに目を向けられます。単なる屋上緑化ではなく、流域に由来する樹木、植物、水草、魚、水生生物、石材、土を取り入れている点がこの施設の核。池袋の高密度な都市環境の中で、地域の自然を「縮図」として見られるのが魅力です。
高低差と水の流れで、豊島区の地形を見せる
展示方法の特徴は、植物を平面的に並べるのではなく、豊島区の地形と水の動きを立体的に見せることです。武蔵野台地の東端に位置する豊島区には、かつて小河川がつくった谷戸や崖線があり、豊島の森ではその高低差を、屋上庭園とグリーンテラスをつなぐ緑の動線として表現しています。水槽、ビオトープ、流れ、植栽が一体になっているため、植物・魚・水生昆虫を別々の展示物ではなく、ひとつの環境の中でとらえられるのが見どころ。特殊緑化技術を取り入れた庁舎全体の設計とも結びつき、都市の建物そのものを生物のすみかに近づける展示になっています。
メダカとヤゴを通じて、育てる環境教育へつなぐ
繁殖・飼育の面では、大型施設のような希少種繁殖を前面に出す場所ではありませんが、身近な水生生物を育て、観察し、地域の自然へ関心を戻す教育的な役割があります。豊島の森と関連する環境学習では、メダカの里帰りやヤゴの救出・飼育を通じて、卵や幼生から成体へ続く生活史を子どもたちが体験的に学びます。水辺の生きものを眺めるだけでなく、人が水環境を整え、命の成長を見守る視点まで含めて伝えている点が、この施設らしい飼育・保全の魅力です。
池袋の上空にある、小さな生態系の入口
豊島の森は、珍しい植物を大量に集めた植物園というより、都市の中で生物多様性をどう回復し、どう見せるかを体感する場所です。メダカが泳ぐ水面、季節で表情を変える植栽、水辺に集まる小さな生きものを観察すると、池袋の上空にも生態系をつくれることが実感できます。短い滞在でも、豊島区の自然史と都市の環境づくりを結びつけて見られる、都心ならではの生物展示です。
