施設の特徴
板橋区立熱帯環境植物館の特徴
東南アジアの熱帯雨林を、植物と水生生物で立体的に見る
板橋区立熱帯環境植物館は、世界三大熱帯雨林のひとつに数えられる東南アジアの熱帯雨林をテーマにした博物館型の植物園です。館内では約700種・約2000本の植物に加え、地下のミニ水族館で東南アジアを中心とする魚や生き物を約150種・約2500匹展示。ヒスイカズラ、ニッパヤシ、マングローブ類、アコウ、フタバガキ科のホペア・オドラタ、カカオ、コーヒーノキ、ウツボカズラの仲間など、海辺から低地林、集落周辺、高山帯まで、熱帯の植物相を一続きに見られるのが魅力です。水族館にはメガネモチノウオ、チンアナゴ、テッポウウオ、ミナミトビハゼ、アジアアロワナ、ヒマンチュラ・チャオプラヤ、ビルマムツアシガメなどもおり、東京都内の植物園としては、生きた植物と魚類・爬虫類まで含めて熱帯環境を読む体験ができる点が際立っています。
海水・汽水・淡水から雲霧林へ、環境ごとに歩く展示
展示方法の特徴は、生き物を分類名だけで並べるのではなく、暮らす環境ごとに見せていることです。地下のミニ水族館では海水・汽水・淡水の3つの水域に分け、サンゴ礁の魚、マングローブや河口域に関わる魚、熱帯淡水域の大型魚を連続して観察できます。そこから温室へ進むと、潮間帯植生、熱帯低地林、集落景観、雲霧林へと変化し、マングローブの根元から大木の茂る林、果樹や有用植物のある人里、冷涼な高山性植物の世界へ上がっていく構成です。高さ約20mの吹き抜け空間を使い、熱帯を“水の中から山の上まで”歩いてたどる設計は、単なる温室展示ではなく、生態系のつながりを体感させる見せ方になっています。
熱帯植物と大型水生生物を支える、環境再現型の飼育・栽培
飼育・栽培面では、板橋清掃工場の余熱を活用して誕生した施設という成り立ちが、熱帯生物の管理と直結しています。高温多湿を好む低地林の植物、涼しい環境を必要とする雲霧林の植物、海水・汽水・淡水の魚たちを同じ館内で維持するには、温度・湿度・水質を環境ごとに切り分ける管理が欠かせません。ヒマンチュラ・チャオプラヤは2009年から飼育され、現在では絶滅危惧種として紹介されている大型淡水エイで、館の環境教育の象徴的な存在にもなっています。魚たちの食事を飼育係の解説付きで観察できるプログラムや、ビルマムツアシガメの「ムッちゃん」に関わる給餌企画などもあり、熱帯生物を“展示物”ではなく、日々の飼育管理の中で生きている存在として見られる施設です。
