施設の特徴
東京タワー水族館の特徴
約900種・5万匹を集めた、観賞魚専門の水族館
東京タワー水族館は、1978年から2018年まで東京タワー内にあった、世界初の「鑑賞魚専門水族館」として紹介されていた施設です。主役はイルカやペンギンではなく、世界各地の美しい魚・珍しい魚たち。約900種類、約5万匹という規模で、淡水熱帯魚、海水魚、金魚、両生類、爬虫類まで幅広く展示していました。ピパピパ、ウーパールーパー、ピラニア、アロワナ、肺魚、ガー、ピラルク、チョウザメ類、フグ類、ディスカス、金魚の品種群など、観賞魚店で名前を聞く生き物から大型の古代魚まで並び、魚の「かたち・色・泳ぎ方」の多様さを一気に見比べられる点が大きな魅力でした。
生息地別展示で、世界の魚を“図鑑のように”歩く
展示方法の特徴は、魚を生息地やグループごとに分け、地域ごとの違いをたどれる構成にしていたことです。北・南アメリカの熱帯魚、ヨーロッパ・アフリカの熱帯魚、アジア・オセアニアの熱帯魚、海水魚、金魚などのコーナーがあり、ピラニアやナマズ、シクリッド、プレコ、スネークヘッド、アロワナ、ダトニオといった魚を、分類や産地のまとまりで観察できました。大水槽で迫力を見せる都市型水族館とは違い、小〜中型水槽を細かく巡りながら、体形、口の位置、ヒレ、模様、底での暮らし方などを比べる展示です。各コーナーに異なるBGMを流す演出もあり、観賞魚を“世界の水辺のコレクション”として見せていました。
展示と販売が重なる、独特の飼育文化
繁殖実績を前面に出す水族館ではありませんでしたが、飼育面で特筆されるのは、展示生体をその場で購入できるという、観賞魚専門施設ならではの仕組みです。水族館でありながら熱帯魚店に近い性格も持ち、魚ごとに水質、混泳、サイズ、気性を見ながら多数の水槽を管理する必要がありました。とくにピラルク、ガー、アロワナ、ナマズ類、肺魚のような大型魚や、汽水・海水・淡水の魚を同じ館内で扱うには、生息環境に応じた飼育管理が欠かせません。展示を見る側にとっても、単なる珍魚鑑賞ではなく、観賞魚がどのように飼われ、流通し、人の手で維持されているのかを感じられる場所でした。
閉館後まで語られる、魚たちの引き継ぎ
東京タワー水族館は2018年9月30日に閉館しましたが、生物施設として印象的なのは、閉館時に多数の魚たちの移動先が確保されたことです。約5万匹という膨大な生体を抱える施設の終了は、単に展示がなくなるだけではなく、魚の健康状態、輸送、受け入れ先、飼育環境の調整が伴う大きな作業です。閉館後には、魚たちが他施設などへ引き継がれたことが報告され、観賞魚専門水族館としての幕引きにも飼育責任が表れていました。東京タワー水族館は、都心の観光地にありながら、世界の観賞魚を大量に集め、見せ、管理してきた、かなり異色の水族館だったといえます。
