施設の特徴
登米市伊豆沼サンクチュアリセンター 淡水魚館の特徴
ラムサール湿地の“水の中”を主役にする淡水魚館
登米市伊豆沼サンクチュアリセンター 淡水魚館は、国内で2番目にラムサール条約登録湿地となった伊豆沼・内沼の生態系を、「水」を軸に紹介する施設です。展示の中心は、伊豆沼・内沼と周辺水域にすむ淡水魚や水生生物。ウナギ、ギバチ、ゼニタナゴ、シナイモツゴ、ドジョウ、ナマズ、メダカ、トウヨシノボリなど、平野部の沼や水路に暮らす魚たちを通して、湿地が鳥だけでなく魚類にとっても重要な生息地であることを伝えています。特にゼニタナゴやシナイモツゴは、東日本の淡水魚相を語るうえで重要な在来魚で、伊豆沼・内沼の生物多様性を象徴する存在です。
24の水槽で、沼の魚を生きた姿で見せる
展示方法の特徴は、大型水槽を含む24個の水槽で、沼にすむ十数種類の淡水魚などを生体展示していることです。大きな円形水槽では、伊豆沼・内沼の魚が泳ぐ姿をゆったり観察でき、底を探る魚、群れで動く小魚、物陰を好む魚など、種類ごとの行動の違いが見えてきます。水槽展示に加え、環境パネル、伊豆沼・内沼の自然写真、地元漁師が使っていた漁具の展示もあり、魚を単体で見るのではなく、「どんな沼で、どんな漁や暮らしと関わってきた生き物なのか」まで理解できる構成です。2016年のリニューアル以降、実践・体験型の環境教育拠点として、観察と学習をつなぐ展示になっています。
外来魚対策から見える、在来魚を守る技術
繁殖・飼育の面で注目したいのは、展示魚を増やすことよりも、野生の在来魚が再び暮らせる環境を守る視点です。伊豆沼・内沼では、オオクチバスやブルーギルなどの外来魚の影響で、ゼニタナゴをはじめとする在来魚が大きく減少した時期がありました。その後、人工産卵床、三角網、定置網、刺網、電気ショッカーなどを用いた防除が続けられ、外来魚を低密度に抑えることで、ゼニタナゴなど在来魚の回復が見られるようになっています。ここで学べるのは、魚を水槽で飼う技術だけではなく、繁殖を妨げる要因を取り除き、湿地全体を在来魚が生きられる状態に戻す保全管理の考え方です。
魚・水鳥・水草がつながる湿地の入口
淡水魚館の魅力は、水槽の魚を見たあとに、伊豆沼・内沼そのものの見え方が変わることです。冬のガン類やハクチョウで知られる湿地も、水面下には小魚、貝、水生昆虫、水草がいて、それらが鳥の採食や湿地の循環を支えています。タブレット検索や生きもの図鑑の情報を使えば、魚類だけでなく、貝類、甲殻類、水生植物、鳥類まで視野を広げられます。水族館のように生きた魚を観察しながら、同時に湿地保全の現場にも触れられる、伊豆沼・内沼ならではの淡水生物学習スポットです。
