施設の特徴
沼津港深海水族館の特徴
日本一深い駿河湾から届く、深海生物の濃いコレクション
沼津港深海水族館は、最深部が約2,500mに達する日本一深い湾・駿河湾を背景にした、国内で唯一の「深海」に特化した水族館です。常時100種類以上の深海生物を展示し、ダイオウグソクムシ、ヒカリキンメダイ、アカグツ、ミドリフサアンコウなど、ふつうの水族館では脇役になりがちな深海の生き物を主役として見せています。さらに、3億5千万年前から姿を大きく変えずに生きてきたとされるシーラカンスの冷凍個体2体とはく製3体を展示する「シーラカンス・ミュージアム」を併設。冷凍シーラカンスを見られる施設としては世界的にも極めて希少で、深海生物そのものの“会えなさ”を魅力に変えている水族館です。
暗さ・発光・水圧まで見せる深海展示
展示方法は、ただ珍しい魚を並べるのではなく、深海という環境を理解できるように組み立てられています。ヒカリキンメダイの発光を印象的に見せる「深海のプラネタリウム」では、暗い海で光を使う魚の生態を視覚的に体感できます。シーラカンス展示では標本だけでなく、遊泳映像や内臓標本、発見にまつわる解説も組み合わせ、1種の生物を化石・映像・標本から多面的に追える構成です。県内の一般的な海水魚展示と比べても、水深200m以深の世界に焦点を絞り、暗さ、低温、水圧、発光といった深海ならではの条件まで見せる点が際立っています。
捕獲直後から始まる、深海生物の繊細な飼育技術
この水族館の核心は、深海生物を「生きたまま見せる」ための飼育技術にもあります。駿河湾の底曳網漁などで得られた生物は、船上で1個体ずつ新鮮な海水と酸素で管理され、深海の環境に近い10〜12℃前後の低水温を保ちながら運ばれます。館内では水温・水質だけでなく、照明の明るさや色、餌の鮮度や種類まで細かく調整し、明るい光や人影に敏感な深海生物のストレスを減らしています。深海生物の飼育には決まった教科書が少ないため、同館は試行錯誤を重ねながら、かつて数日から数週間しか展示できなかった生物の長期飼育に取り組んできました。
孵化・長期飼育に挑む、研究型の水族館
繁殖・飼育面でも、沼津港深海水族館は“展示して終わり”ではありません。ヌタウナギやオオグソクムシでは水槽内で赤ちゃんが孵化した例があり、メンダコでは世界で2例目となる孵化にも成功しています。ミドリフサアンコウやアカグツなど、以前は短期間の展示にとどまりがちだった生物でも年単位の飼育例を伸ばしており、深海生物を長く健康に飼うための知見を積み上げている点が大きな魅力です。日本一深い駿河湾の近さ、漁場から港までの距離の短さ、そして館内での低温管理と観察の積み重ねが、ここならではの深海展示を支えています。
