施設の特徴
さいたま水族館の特徴
埼玉の川にすむ魚を、約70種類まとめて見られる淡水魚の水族館
さいたま水族館は、海の大水槽ではなく、埼玉県の川や池にすむ淡水の生きものを主役にした水族館です。埼玉県内で採捕されている魚86種類のうち、展示可能な約70種類を中心に紹介しており、ヤマメ、オイカワ、コイ、フナ、アオウオ、ソウギョなど、川の上流から下流までの魚を比べながら見られます。特に重要なのが、国指定天然記念物のミヤコタナゴ、埼玉県の魚であるムサシトミヨ、食虫植物のムジナモです。ムサシトミヨとムジナモは、国内では埼玉県にのみ自生地があるとされる生きもので、県内の淡水生態系を語るうえで欠かせない存在です。海なし県の水族館だからこそ、地域の川魚を深く掘り下げる展示が際立っています。
荒川200kmを下るように、川の環境変化をたどる展示
展示方法の特徴は、館内を荒川の約200kmの流れに見立て、上流から河口域へ下るように構成していることです。上流域では冷たい水を好むヤマメやイワナ、中流域ではオイカワやウグイ、下流域ではコイ、フナ、アオウオ、ソウギョなどが登場し、流れの速さ、水温、川幅の変化に合わせて魚の顔ぶれが変わることを自然に理解できます。希少魚コーナーでは、ミヤコタナゴやゼニタナゴ、ムサシトミヨ、ムジナモを、かつてすんでいた環境や今の生息環境を意識した水槽で展示しています。庭池では1mを超えるソウギョやアオウオ、コイ、ニシキゴイを近くで見られ、館内の小さな魚と屋外の大型淡水魚を見比べられるのも魅力です。
繁殖・飼育の面では、天然記念物や希少淡水生物を増殖して展示している点が、この水族館の大きな役割です。ミヤコタナゴやムサシトミヨ、ムジナモは、開発や環境変化によって身近な場所では見られにくくなった生きものとして紹介され、単なる展示種ではなく、地域の自然を守る入口になっています。とくにムサシトミヨは、元荒川の清らかな湧水環境と結びつく魚で、さいたま水族館ではその小さな体や巣づくりに関わる生態を知ることで、川の水質や水草、湧水環境の大切さまで考えられます。水族館探検ツアーや給餌観察、カメやザリガニにふれる体験も、飼育の裏側や生きものの食べ方・動き方を学ぶきっかけになっており、地域の淡水生物を「見る」だけでなく「守る対象」として感じられる水族館です。
