施設の特徴
犬吠埼マリンパークの特徴
寒流と暖流が交わる銚子の海を背景にした総合水族館
犬吠埼マリンパークは、1954年開館、2018年に閉館した、銚子・犬吠埼の海辺を象徴する水族館でした。展示の核には、親潮と黒潮の影響を受ける銚子沖らしく、寒流系・暖流系の海水魚をともに見せる地域性がありました。館内では、銚子漁港とも関わりの深いイワシの大水槽、エイ、カニ、サメ、ミズダコ、北の海の生きものに加え、ピラルクなどのアマゾン淡水魚、タカアシガニ、ゴマフアザラシ、フンボルトペンギン、バンドウイルカまで幅広く飼育。小規模ながら海水魚・淡水魚・爬虫類・海獣をそろえた、地域観光型の総合水族館でした。
手書き解説と近距離展示で、生きものを親しみやすく見せる
展示方法の特徴は、巨大水槽で圧倒するより、来館者と生きものの距離を近く保つことにありました。1階のオーシャンホールでは淡水魚やアザラシ、ワニなどを、2階ではエイ、カニ、サメなどを見せ、最奥部の洞窟水槽ではミズダコや北の海の生物を展示していました。職員による手書きの解説にはルビが振られ、子どもにも読めるよう工夫されていた点も印象的です。イルカ、アザラシ、ペンギンは屋外展示で、フンボルトペンギンは翼の色付きリングと個体ごとの性格紹介によって、一羽ずつ見分ける楽しさもありました。
イルカの出生と個体管理に見る、飼育の積み重ね
繁殖・飼育の面では、2005年に館内でバンドウイルカが誕生し、公募で「マリン」と名付けられたことが特筆されます。イルカを飼い、ショーを成立させるだけでなく、出産・育成まで経験した施設だったことは、当時の飼育技術を物語ります。フンボルトペンギンでは個体識別をしながら性格を紹介し、飼育員の解説付きの給餌も行われていました。一方で、閉館後にイルカや多数のペンギンなどが施設内に残された経緯は、展示動物を長期にわたって預かる施設責任を考えるうえでも重要な出来事です。
水しぶきが届くイルカショーが記憶に残る
犬吠埼マリンパーク最大の呼び物だったのが、客席との距離が近いイルカショーです。プールは大規模ではありませんでしたが、そのぶんイルカのジャンプや水しぶきが間近に感じられ、前列では体ごと海獣の迫力を浴びるような体験ができました。全国の大型水族館のような華やかさとは別に、銚子の岬の水族館らしい素朴さと近さが魅力でした。閉館した現在は訪問できませんが、寒流と暖流が交わる銚子の海、手作り感のある解説、イルカやペンギンとの近距離展示を通じて、地域の海と観光の記憶を残した水族館です。
