施設の特徴
よこはまおもしろ水族館の特徴
400種規模の“変わりもの”を集めた都市型水族館
よこはまおもしろ水族館は、横浜中華街のビル内で営業していた小型水族館で、2021年に閉館するまで「おもしろ水族館」と「赤ちゃん水族館」を組み合わせた独自の展示で知られていました。公式情報では、全体で約400種・1万匹規模の魚や水生生物を扱い、巨大水槽の迫力ではなく、変わった姿・行動・成長段階に注目する構成が特徴でした。オニダルマオコゼ、オオグソクムシ、ウミガメの赤ちゃん、魚の卵や稚魚など、一般的な水族館では主役になりにくい生き物を前面に出していた点が、横浜市内の都市型展示施設としても個性的でした。
小学校と幼稚園を使った、生態を“発見する”展示
展示方法の最大の個性は、館内を「小学校」と「幼稚園」に見立てたことです。おもしろ水族館側は、校門、下駄箱、校長室、音楽室などを思わせる空間に水槽を配置し、各水槽に魚の名前や生態を考えるクイズを添えていました。びっくり擬態ゾーンでは、周囲に溶け込む魚を探すように観察させ、ふしぎ共生ゾーンでは異なる生物同士の関係に目を向けさせるなど、魚を眺めるだけでなく「なぜそう見えるのか」「どう生きているのか」を考える展示でした。大型水槽で圧倒する施設が多いなか、観察力を引き出す小型水槽中心の見せ方がこの館ならではの魅力でした。
卵・孵化・稚魚を主役にした赤ちゃん水族館
繁殖・飼育の視点では、飼育下繁殖の大きな実績を打ち出す施設というより、生き物の誕生と成長を見せる「赤ちゃん水族館」の存在が特筆点でした。幼稚園をモチーフにした空間に、魚の卵や孵化直後の個体、成魚とは色や模様が異なる稚魚などを集め、ふだん見過ごされやすいライフステージを展示対象にしていました。卵だけでなく、大人になった姿を想像できるような展示も組み合わせ、魚が“完成した姿”で生まれるわけではないことを直感的に学べる構成でした。水族館で稚魚や卵をまとまって観察できる機会は多くないため、生命の始まりに焦点を当てた点が大きな個性でした。
餌付け公開で、静かな生き物の動きを引き出す
生物との関わりを深める要素としては、オニダルマオコゼやオオグソクムシ、赤ちゃん水族館の餌付け公開が用意されていました。普段は動きが少ないオニダルマオコゼの摂餌行動や、深海性の等脚類であるオオグソクムシの食べ方を見せることで、「動かない」「怖い」「変な形」といった第一印象の奥にある生態を引き出していました。ギャグ水槽や遊具型水槽の軽やかさの裏で、擬態、共生、成長、摂餌といった生物学の基本を、子どもにも届く形に翻訳していた水族館です。
