施設の特徴
すみだ水族館の特徴
東京の世界自然遺産と、都会で出会う小さな海の生きもの
すみだ水族館の生物展示で軸になるのは、東京に属する世界自然遺産・小笠原諸島の海を再現した「小笠原」エリアと、都心型水族館らしく近距離で見られる多彩な生きものです。小笠原大水槽では、約45種450点の魚たちが泳ぎ、シロワニ、マダラエイ、ヨスジフエダイ、ノコギリダイなど、外洋的な青い海を思わせる魚影が広がります。オガサワラベースでは、アオウミガメや小笠原諸島の固有種であるオガサワラヨシノボリなども紹介され、東京の水族館でありながら、都心から約1,000km離れた島の生態系へ視線を運べるのが大きな個性です。さらに、体表の水玉模様が印象的なチンアナゴ、ミナミアメリカオットセイ、マゼランペンギン、金魚、クラゲなど、姿や動きの違いを比較しやすい生きものがそろっています。
上から、横から、下から——行動を見せる展示設計
展示方法では、生きものとの距離の近さと、観察する角度の多さが際立ちます。マゼランペンギンが暮らすペンギンプールは水量約350トンの屋内開放型で、2層吹き抜けの空間を使い、6階からは上、5階からは横や下から泳ぎを観察できます。水槽越しに眺めるだけでなく、同じ空間にいるような感覚で、1羽ごとの動きや表情、時間帯による過ごし方の変化を追えるつくりです。クラゲ展示の「ビッグシャーレ」は、約500匹のミズクラゲが漂う長径約7mの水盤型水槽で、この形式では日本最大級とされています。アクリル越しではなく上からクラゲを見下ろせるため、半透明の体、拍動、水面の揺れまで観察しやすいのが魅力です。全長約100mの金魚展示「江戸リウム」では、ワキン、リュウキン、ランチュウなど約15品種を、横からだけでなく上からも眺められる水槽で見せ、体形や尾びれの違いを鑑賞の主役にしています。
繁殖・飼育の面では、バックヤードを隠さず見せる「アクアベース」が、この水族館らしい取り組みです。キッチンではペンギンやオットセイ、大水槽の魚たちの餌を準備する様子を公開し、その日の体調や行動に合わせて餌の量を調整する飼育の細やかさが伝わります。ラボではクラゲの誕生から成体になるまでの成長過程や繁殖作業を見せており、館内で展示される約14種700匹のクラゲはすべてすみだ水族館生まれの個体です。チンアナゴでは、同館が繁殖行動の映像記録を行い、まだ謎の多い繁殖生態の一部を明らかにしています。マゼランペンギンも館内で繁殖しており、2025年には「あられ」と「つづみ」が誕生し、羽の生え換わりや水に慣れる練習を経てプールデビューしました。観客が完成した展示だけでなく、育つ過程そのものを見守れる点に、都市型水族館としての強みがあります。
